第16話
両手に花状態の俺は特に二人に手を出すこともなくいつもと変わらない朝を迎えていた。
今日を含め、4日以内に商人を見つけるのが俺たちの仕事だがリールがいるなら4日とかからずに見つけることはできるだろう。
「二人とも起きろ。もう朝だ、動き始める時間だぞ」
俺の呼びかけに反応して二人は寝惚け眼をこすりながらおはようと挨拶をする。
「いやー、ゆっくり寝れて疲れもいつもよりとれてる気がするよ」
「それはよかったな。とりあえず身支度済ませるぞ」
「わかった」
そうして簡単に終わる身支度を済ませ、ドアの前で二人を待つ。よく女性は準備に時間がかかると言うがどれほどなのなのだろうか。
待つこと5分。二人そろって部屋から顔を出す。思っていたより早く終わらせてきた二人に関心しながら今日もギルドへ向かう。
その途中も相変わらず俺の来た世界の話しやら俺自身の話しをしていて、ギルドにつくのが過去1長く感じた。
「もう、その話しはそこまでにして切り替えて任務に取り組むぞ」
「はーい、じゃ私は今日もここで受付しとくから気をつけて任務にあたってね」
「あぁ、じゃさっそくだがリール、商人の現在の居場所を探して、能力も教えてくれ」
「分かった。――今は王都にいるみたい。それで能力は【思考を読み取る能力】で、デメリットは読み取る相手の名前を知ることだね」
「ありがとう。【思考を読み取る能力】で、デメリットがそれならすぐに捕まえれそうだな。今から王都に向かうけどルイベルトは呼ばなくても良さそうだな」
「うん、ルイベルトは刺客たちを捕まえてくれればいいからね。今回は二人で行こう」
「俺は馬車を借りてくる。リールはその間ここで待っていてくれ」
うん。と返事するリールを置いて馬車を借りに行く。そこで前と同じ手順でいい馬の馬車を選ぶ。
でもここで以外騎士隊長の力は使ってないんだよな。なにか特別なこととかないんだろうか。
そんなことを考えながらギルドへ馬車とともに戻ってきた。
「行くぞ、リール」
「早かったね」
「すぐ近くだし、それになるべく早いほうが後で時間に余裕ができるからな」
「それもそうだね。私も部屋にいてもすることないから依頼を多くできるだけいい」
「ふーん。なぁリール、依頼を今までで失敗したことあるか?」
全知、時間停止の能力を持っていたら失敗なんてないのが普通か。
「ないよ。無理だと思う依頼にはそもそも行かないからね」
ほらな。ドヤ顔すると思ったけどしないんだな。
「そうか、リールでも無理だと思う依頼はあるってことか。たとえばどんな依頼だ?」
「能力の使い方を教えて、とか教えることは苦手だから私の能力を使ってもうまく教えれなくて無理」
「リールでも苦手はあるんだな。でもよくあるのか、そういう依頼」
「うん。私とカナトみたいに、時間停止と時間を操るっていった似たような能力を持つ人も多いからそこで依頼として募って師弟関係ができたりするよ」
確かに俺が試験で会ったゼンとフェクトも師弟関係だったな。俺とリールも創作能力を教えた仲なら師弟関係と言えるかもしれない。
「まぁリールにも欠点がないとだよな。さすがに能力とか外見、性格が完璧なら羨ましすぎるからな」
「そういうカナトだって同じだよ。何か苦手なことはないの?」
「んー能力のおかげでないと思う」
「ほらね、羨ましい」
「そうか?でも能力に恵まれなかったら苦手なことはあると思うぞ。俺はめんどくさがりだから神の使いとも燐を求めて争いたくないし」
「そうだけど、結局カナトは優しいから、他の人が傷つくなら俺がやる。でしょ?」
「まぁな。さすが、お分かりですねリールさん」
「ドヤ顔しようか?」
「大丈夫です」
するタイミング他にあっただろうに。リールの性格は俺に適応してるのかもな。自分をありのままで表現した性格はどれだけ疲れても全くストレスを感じない。
「そろそろ王都だ。その商人は詳しく、王都のどこにいる?」
「消えた貴族の金庫にいるよ。ここから10分ぐらい」
「よし、じゃついたらリールが時間を止めてくれ。俺は止められた時間の中でも動けるように常に創作能力を付与してるから大丈夫」
「わかった」
俺はリールが時間を止めてる間に気になることを試す。
そしてリールの言う通り10分で貴族の家へとついた。
「じゃリール頼んだ」
「うん。それじゃ――」
リールも呪文を口に出す必要はないので脳内で唱えたのだろう。すると周りから音が消え写真の中に入ったように動きが止まる。
それなら俺も――。『アブソリュート』
俺は止められた時間の中で動くリールの時間を止めた。するとリールは動かなくなり俺の試したかったことは嬉しく、成功した。
やはり、時間を止めた中で動くものにも時間を止めることはできるということになる。いい事を知れたな。
そのまま時間を戻す。
「あれ、カナト少し時間止めた?」
「あぁ、うん。20秒ほど止めたかな。知りたいことがあってね」
「そっか。なにかいやらしいことをしたいから止めたのかと」
「俺がそんなやつに見えるのかよ」
「ううん、少しからかってみただけ」
リールは年上だがなんだが年下を相手にしてる気分になる。
「ほらついたぞ、それで金庫前にいるあいつが商人か?」
「うん、そうだよ」
「じゃ俺は少し話しをするから時間を戻してくれ」
そうして、目の前に俺が瞬間移動してきたかのように見せて、驚く商人を俺は笑っている。
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