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異世界黄金郷  作者: 調月 りょう
第一章 人界
2/8

divide1 ヒーローにはなれない

第2話の執筆が完了しました。現在内容の確認と誤字の修正を行っています。もうしばらくお待ちください。


ーーー封印暦1233年・??ーーーーー




「・・・ここは何処だろうか」



ーーー暗くて何も見えない



ーーー空気が冷たい



ーーー体に伝わるゴツゴツとした感触



「洞窟、、、?」



 彼(?)は今持てる情報から周囲の情報を割り出す。



 ただやはり人間である以上視力を使えないのは心地が悪いので、取り敢えず暗視の魔法を展開し周囲を目視で確認しようとする。



「・・・」




本来、魔法の展開には詠唱が必要な筈だがそれらしきものを発声することは無かった。




ーーー天井から伸びる岩の先から滴る水

ーーー周囲を囲うゴツゴツとした岩




ーーーやはり洞窟か



彼(?)は周囲を見渡す。



取り立てて目を引くような物は見当たらない。何も無い、ただの洞窟である。



ーーー出るか



このままここに留まっていても仕方が無いので、出口を探すことにした。




 彼?は探知魔法を展開する。



「・・・」



 これも詠唱を行わずに。




ーーー出口はあちらのようだな




 彼(?)は振り返り、今まで向いていた方と反対方向に歩き始めた。




ーーーーーーー





歩き始めてから10分が経過し、

奥にある壁の隙間から光が漏れているのを発見した。



 扉だ。それもかなり大きく、彼(?)の背丈のゆうに倍はある。



ーーー随分と古いな、、、




扉は、長い年月そこにあったのか、酷く錆び付いていた。




 見たところ鍵穴のようなものは付いていないが、扉のサイズからして普通の人間が押したところでびくともしないだろう。



彼(?)は扉の表面に手のひらを当て、探知魔法で扉の向こうの様子を探る。




ーーーなるほど



どうやら扉の向こうは鬱蒼とした森のようだ。



扉の向こうの様子を大体把握した彼(?)は、壁に当てた手の平を離すことなくそのまま前に力を加えた。




ゴゴゴゴゴゴゴ




片方5トンはあろうかという錆び付いた巨大な扉が大きな音をたてながら開き、洞窟内に陽の光が満ち始める。




ーーー久しぶりだな・・・



彼(?)は森の木の匂いと、木の葉の隙間から射し込む日の光を感じながら、永き眠りから目覚めたことを実感する。




しかし彼(?)は感傷に浸る間も持たず、ここに来て初めて魔法名を詠唱した。




ーーーフォルト




刹那、彼(?)の体の周りを青と白で構成された菱形の立体が囲い、彼の姿が見えなくなる。




その直後立体が消滅し、そこには彼(?)の姿はなかった。











ーーーーーーーーーーーーーーー



ーーー???・???ーーーー




???「・・・私の声が聞こえるか?」



ーーーなんだ?、、、



???「意識があるのなら返事をして欲しい」



ーーー女性の声?



「う、、、、」



???「気がついたようだな、、、」



 彼は反射的に当然の疑問を口にする。



「だ、、誰だ???」



???「残念だが現時点においてそれを話すことはできない」




声の主はどこか申し訳なさそうに返答する。



???「しかしこれだけは誓おう、私は貴方の敵ではない」




ーーー信用しても良いのだろうか?・・・



ーーーそれよりも俺はトラックにはねられた筈、、、生きていたとしても病院にいなければおかしい。




ーーーなのにこの空間はなんだ?




彼のいる場所は、目視できる限り水?のようなものに上下左右を囲まれ、その中を前後にチューブのような空間が伸びている。



あまりに異様な空間。おまけに重力のようなものも感じない。




それといやに自分が冷静なのも気になる。自分の死と、この異様な空間に気が動転するどころか、むしろ普段よりも気が大きくなっているような感覚さえある。



そして彼は、今彼に語りかけている存在に、どこか懐かしく、そしてどこか親しみを感じていた。



 まさかここが天国なのだろうか?兎にも角にも声の主に問いかけた。



「ーーここはどこなんだ?」



???「ここは貴方の世界とこちらの世界の境界」



???「貴方がそちらの世界で死んだ際、消えゆくオリジンを私がここに縫い止めた」



ーーー何を言っているのかさっぱり分からない、、、しかし少なくともこうして意識がある訳だから、救ってくれたって事でいいのか?




ーーーとりあえずお礼は言っておくべきか、、、



「助けれくれてありがとう」




ーーーしかしなぜ俺を?




 彼は感謝しながらも、声の主の正体が分からない以上当然の疑問を抱いた。



「もしかして昔どこかで俺と会ったことがあるのか?」



問いかける。



???「あぁ、、君は覚えていないかも知れないが」




声の主は続ける。




???「君のことなら何でも知っている」




そう言うと、声の主はいきなり彼の個人情報をペラペラと話し始める。




???「名前は武井(たけい) (みつる)。県立桜坂高校3年18才水泳部部長、、、」




驚いた彼はそれを慌てて制止する




ミツル「わかった、、、もうそれくらいで良いよ、、、」




いくらこんな意味の分からない空間にいると言っても、自分の個人情報をペラペラと言葉にされるというのはどうにも心地が悪い。




ミツル「とりあえずこうして意識がある以上、助けてもらったことには感謝している。」



どこか含みのある言い方で始め、単刀直入に疑問をぶつける



ミツル「で、何故俺を助けた?」




???「.........。」




ーーー?、、



???「現時点でそれを貴方に伝えることはできない」



ミツル「さっきからそればかりだな」




???「・・・今それを貴方に伝えられぬ私を、どうか許して欲しい」



 女性の声でこう言われると、どうも何か自分が悪いことをしたかのように思えてきて心地が悪い。



ミツル「・・・わかった」



彼は追求を諦め、思考をこれから先に向ける。




この意味の分からない空間で、こうして語りかけられている以上、何か自分に用事があることは間違いないだろうとアタリを付けシンプルに質問する。



ミツル「アンタは一体俺に何を求めているんだ?」




???「転生してもらいたい」




ーーー・・・・・・!?




突如飛び出した単語に混乱しつつも彼は思考を巡らす。




ーーー転生って、あの転生か?あの、、、異世界がなんちゃらってやつか、、、?





ミツル「それはその、、異世界に転生して魔王を倒せとかっていうお願いか?」




???「・・・。」




???「今それを貴方に伝えることはできない」




ーーーここまで来るとなんとなく返答の予想はできていたが、、、




とりあえず彼は最初の質問に答える



ミツル「転生するのは良い」



 彼はあっさりと承諾した。



ミツル「しかしそれにあたって何かギフトのようなものは貰えないのか?」



 当然の疑問だ。



ミツル「こっちはただの高校生、何も持たずいきなり異世界に放り出されても野垂れ死ぬだけだ。」



その疑問に声の主は答える




???「ギフトなら既に貴方が持っている。貴方が生まれたその時から・・・」



 謎の存在はどこか調子が良さそうに答えた。



 しかし、どんな答え方をされたところで、内容的に答えになっていない。



ーーーいやいやいや何も持たされてませんけど!?




ーーーせめて剣とか鎧とか銃火器とか、、あるでしょ!?




ミツル「いやちょっと待っ、」




???「おやそろそろ時間のようだ」




強引に割り込むように一方的に告げられる




ミツル「だからちょ、、」




刹那、彼の視界が眩い光に包まれる




ーーー!?!?!!





ーーーーーーーーーーーーー











ーーー起源暦4870年・ルセル山脈ーーー




「はぁ、!はぁ、!はぁ、!」





ーーー。。。



ーーーこれで全部か、、、



彼は自分に群がる魔物をあらかた始末し終え、仲間達の方に注意を向ける



「おい!みん、、な、、、」



ーーーえ?・・・



 見れば、仲間達も群がる魔物達を退けることに成功していたようだ。



 なのに、なぜ?



 彼の目にうつるのは仲間達の死体、死体、死体。




この世界に来てから、何も持っていなかった自分に良くしてくれた恩人であり戦友でもある仲間達の呼吸はもうそこにはなかった。




 理解が追いつかない。




追いついたとしても受け入れられないだろう。





ーーーえ?・・・



 否、理解が追いつかないのでは無い。



 敢えてその場に留まることによって己への現実の流入を防いでいるのだ。



彼は何度も同じ思考を反芻する



ーーーえ?・・・





ーーーーーーーーーーーーー

第1話、かなりややこしいですが、おそらくこれから何度もこの第1話を見返すことになると思います。


次回 divide2 始まりの大地



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