4話 東西南北〜西戦〜
俺たちがいた部屋はピラミッド型の建物でそこから各方向に緩やかな坂道ができており
自然豊かで周りには建物が少なくかなり離れたところにこのピカピカの建物を
囲うように円を描きまちが栄えていた。とんでもなく大きく広いヤハウェがいたところは
攻めやすい地形になっていた。おそらく今までここにたどり着けるものなんて
いない故のことだろう。これもなんとかしなければ。
西の地についた俺と楓は敵の数の多さに驚いた。
歩兵がとんでもない数と空を飛んでいる兵士もすごい数だ。
将と思われるものもおり、陣形もしっかりしていた。
「この数はやばいわ」
「うん本当に2人で大丈夫かな。」
楓が不安げにしていた。
「けど他の方面も敵の数はとんでもないみたいだし早く倒して塔に戻って支援しないとな。」
俺はこの数には驚いたが将次第だと思っていた。
たくさんスキルを覚えてもEXスキルの足元にも及ばないからだ。
12神も実際はとんでもなく強いのだろうが各々がEXスキルを使うだけでは俺たちのように
連携する者には勝てるはずもない。
EXスキル持ちが生まれる可能性はとても低いのに30人全員がEXスキル持ち!と驚いていたし
まずEXスキルの連携は思いつかなかったのだろう。EXスキルは強すぎる故に代償が各々あるから
連携して使い無駄に代償を払いたくないというのもあるのかもしれない。
実際俺たちも危なかった。
個々人で12神に挑んでいたらきっと危なかった。
「何を考えてるの?」
楓が心配そうに話しかけてくる。
「いや、少し心の準備をしてた。」
俺たちはここに来るまではただの高校生だったから殺すことには最初は抵抗があった。
だけど帰るために覚悟を決めた。それに加え俺たち全員の家族が殺された以上
この国にかけてやる情けはない。冷たいがやられた以上やり返す。
「楓、俺はみんなが大好きだ。もちろん楓のことも。だからこの戦場を終わらせてみんなを支える!」
俺はキメ顔でいった。
「じゃあ、萌香ちゃんはどのくらい好き?」
笑顔で楓が聞いてきた
「萌香は大大大大好きかな。このことみんなには内緒ね、流石に恥ずかしいから。」
これが失敗だった。
『おい新郎さん〜決意表明はいいけど《精神回路》で繋がっていること忘れてるよね〜』
塔にいる楽だ。
『龍ちゃん無空間の中にいる新婦様が顔真っ赤ですぜ』変な喋り方で絵理が伝えてくる。
それに続くように蒼士が
『俺も愛してるぜ龍ちゃ〜ん』
『お前ら、、、』
今回こそ俺が悪いので何も言えない
『おいみんな何も言い返せないからからかうなら今だぞ』
本当に紀良は一言余計だ。
『おい、なんで戦闘中にそんな余裕なんだよ。お前ら、集中しなさい。』
遮るようにそういうと
夢々がその疑問に答えた。
『こっちにはまとめる将軍がいないのかそんなに苦労がないからかな、ただ数はいるから時間は
微妙にかかる。多分私がいる東が一番敵さんが弱いかな』
『だからこんな話にみんな答えられるのかよ。』
『こんな話っていうか小学校1年から見てきた私たちにとってはとんでもなくビックイベントよ!』
夢々が食い気味に応える。
「な、なんでだよ。」
本当にわからない
『龍ちゃんってずっと萌香りんのこと好きだったのに隠してたじゃん、その想いがようやく
伝わったんだからビックイベントよ!ま、みんな龍ちゃんが萌香りんのこと好きなのは
知ってたから本当にようやくのことよ』
『わ、わかったから今は敵がいるからこの続きは後でしよう!』
『しょうがないか、みんなさっさと終わらせていじり倒すわよ!』
おーーーー!!
クラスが1つになった。
俺と萌香にとっては最悪な形で。
「楓〜、お前俺のことハメたな〜〜」
「フフッごめんね。なんか緊張してるようだったからついイジった」
楓は楓なりに考えていたか。
「ありがと、おかげで緊張せずに戦えそうだ!」
「さすが委員長の龍ちゃん!じゃ、西戦戦闘開始しますか!」
するべきことが決まった楓はとてもカッコいい
だからこそ俺は楓を守る、そして無傷で他の方角の支援を。
〜〜〜西・戦闘開始〜〜〜
「楓、EXスキル頼んでいいか?」
「もちろんそのつもりだよ!EXスキル《否定》戦意!」
EXスキル《否定》とは、発動者が何々するな、もしくは何々しろと言うとその言葉に
否定されたことを確定で起こす。という物だ。
俺たちEXスキル持ちの代償を消したのは楓だ。
俺たちがEXスキルの力を得た時にヤハウェがその力の代償について教えてくれた。
萌香の代償は運命を変えた時に記憶が少しずつ無くなっていくという物
絵理の代償は回復した分自身の自然治癒力が減少するという物
本郷の代償は繋いだ相手の痛みがダイレクトに伝わるという物
など、使い手にたいしリスクが伴うものだった。
だが、楓のスキルを聞いた時、俺と紀良はそのスキルの恐ろしさに気付いた。
これがあれば死ぬことすら否定したり相手の戦意も否定できたりできるのではないか。
EXスキルですらも。
「EXスキル《否定》EXスキルの代償!」
この一言でみんなのEXスキルの代償が消えた。
5年の無空間の修行の時に早めに気づけたから代償なしで連携やスムーズに使える練習ができた。
それにより楓は、みんなの役に立てたと泣いた。
EXスキル《否定》にて空に飛んでいた兵士、地にいた歩兵全員が武器を捨てた。
「あ〜やっぱ楓のスキルヤバイは。あんなん耐えれるのは結構強者だな。」
見渡してみると将軍や良い武器を持っている奴はなんとか自我を保っている。
「本当に一瞬で終わるとは、楓お嬢本当に半端ないな」
「その呼び方何よ、けどまだ残っているてきに対してスキル発動しようか?」
「いや俺が全部倒すよ。ついて来てくれて助かったよ雑魚の対処は何気にしんどいだろうから。」
「じゃ、終わらすか。」
右手を前に突き出した。
目の前の敵を一掃し地面をえぐった。
「よし、塔に戻ろう。危ないところに俺たちで援護に向かう。」
「うん、みんなを支えよう!」
龍ちゃんは本当に頼りになるな〜
わずか戦闘開始して3分の時間が経過して西戦は終了した。
総数約5,000万人死亡
次の戦場は紀良の南サイドです。