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2話 魔王城での出来事 後

魔王城での出来事後半です。

『』のとこは精神回路が繋がっている会話です。

《俯瞰》・《配置》・《精神回路》・《無空間》で最上階の魔王城まで来ていたので

異変に気づくのはもう少しかかると思っていた


魔王討伐に1分、ここまですぐに気づかれたのは想定外だった。

「貴様らの主、魔王は討ち取った。降伏せよ!」俺は幹部に伝えた。


「王が殺された、ならば貴様らを殺して同じところに送ってやる!」

「すべての部下、国民に伝えた。生きて帰れると思うなよガキ供!」

「殺す!貴様らとてこの国すべての者に攻撃されたら死しかあるまいて」

幹部は怒り狂っていた。


「3人1組で陣形を組んでカバーし合って、撃退しろ!」

指示を出したと同時に痛みの我慢の限界がきた。痛みが全体に広がりとても立っていられるようなものではなかった。

膝を地面につけて意識を保つのがギリギリだった。


後ろから背中を軽くトントンと押された。

『「私が油断してた。これで龍ちゃんが死ぬなんてだめだよ!本当にどうしよう!私が、私が!」』

萌香とは本当にずっと一緒に生きてきた。幼馴染だ。人生で泣き顔を見たのはこれで何回目だろうか

よく泣くけどここまで焦り、泣きじゃくるのは久しぶりに見た。


『「萌香のこと守れてよかった、俺がいなくても大丈夫だよ。みんないい奴だし、絵里もいる。それに

 俺は萌香のすごいとこたくさん知っている。その俺が大丈夫って言うんだきっと大丈夫。」』

萌香を守れた安堵と確実に死に向かっている感覚があり生きてきた中で一番焦っていた。


ついには後ろに倒れてしまった。頭に柔らかい感触があった。

目を開けて上を見上げると涙を流していた萌香の顔が目の前にあり、目があった。


もう死ぬと感じた俺はずっと言いたかったけど言えなかったことを萌香に伝えて死のうと考えた。


『「萌香、言いたいことがある。ずっと言えなかったんだけど今、言うね。君に出会ってから本当に、本当に

 今の今まで好きだった。きっとこの先何があっても変わらず好きでいる。死んでも記憶を失っても好き。

 何があっても君のこと愛し続ける。けど俺はここで死ぬみたいだ。本当にごめん。しっかり俺の分まで生きてくれ。」』


萌香は涙を拭って答えた。

『「龍ちゃん、私も好きだよ。会った時からこの気持ちは変わらない。龍ちゃん愛してる。この先、

 どんなことがあろうと好きなことは変わらない。だからさ、諦めないでよ。死ぬなんて言わないで、、」』


最後には耐えきれず俺も萌香も泣きだしてしまった。

体の数字を見て

00:01:21

と確認して


『「もう喋ることもきついや、残りの時間ずっとそばにいてくれないか。」』

最後の力を振り絞り頼んだ。


無言でうなずき。お互いの顔を見合わせて静かに目を閉じた。


「ねえ、非常時に何二人の世界に入ってんの〜?相変わらず焦ると何もできなくなるのは変わらないね

 だから私がいるんだけどね、感謝しなよ?」


ニコニコ笑いながらきたのはもう一人の幼馴染みの絵里だ。

「龍が言ったんじゃん、どんな時でも焦らずに対処すれば僕たちは誰一人かけることはないんだって。」


「どうしようこのままだと龍ちゃんが死んじゃう!」

萌香が泣きながら絵理に言う


「ここがどこで私たちのEXスキルのこと忘れてない?」


盲点だった。

とんでもなく焦っていた。

こうなるのは仕方がない。

必死に今の状態の言い訳を考えていた。


「いい雰囲気の上、何か話してたけど全然スキル使わないから見に来たけど間に合ってよかったよ。

 《完治》はい終わったよ。二人ともスキル使えばどうとでもできるのに本当に焦ってたんだ。

 指示も出してたからどうするか算段もついてるのかと思ってたよ。」


冷や汗が止まらなかった。俺のスキルを使えばどうにでもできるし萌香のスキルで

死を回避することもどうということもない。恥ずかしくて俺と萌香は顔を手で隠した。


「え、冗談で煽っていたつもりだけど本当に忘れてたの?」

急に真顔になって心配してきたから俺と萌香は同時に否定した。


「わかってた!わかってたから!」

「わかってた!わかってたから!」萌香と同じセリフを言ってしまった


「焦ると同じ言葉を連続してしまう癖直さないと私に嘘は通じないよ?」

何も言えなかった。


「さて龍どうする?、どこかの組の援護に向かう?」


「いや絵理はここで俺と待機だ。状況が悪くなったら3人で援護しに行こう。」


パキッと言う音がした。周りが氷で覆われたようだ。こんなことができるのは蒼士の《永氷》だ。


「たく、イチャコラしてる間にこの国の奴ら全部倒したぜ。」蒼士がそう言いながら歩いてきた。

どうやら終わったようだ。


「一旦、《無空間》にて戻ろうか」響子が力を使った。


〜〜〜〜〜無空間〜〜〜〜〜


「龍之助くん、ここ以外では堅物キャラを演じるって言ってたのに崩れてたじゃん。確か監視の目があるかもだから

 頭いいキャラ演じるって言ってたのに。」

嫌味を言うのはEXスキル《自己嫌悪》を持つ結衣である。

「しょうがないだろ、流石に死ぬと思ったんだから。」

「学校でもあそこまで焦ってたところは見たことないな」

ニヤリと零が笑った。

「うるせーよアニメオタクが!零もあんな状態になったらああなるさ!」と少し怒り気味に答えた。


・・・あれ。なんでみんな俺が焦ってスキルを使わなかったこと知ってんだ。

その疑問の答えはすぐに出た。


「いや〜スキルっていいもんだね。俺がいたからこんな最高なものが見れたんだから感謝しろよな〜」

本郷だ。《精神回路》にて戦闘中のみんなの耳にあの会話が聞かれていたのだろう。


それに気づいたのか先ほどからずっと顔を手で隠している萌香がいた。


「も、もういいだろ。忘れてくれ。」

俺が照れながら言う


俺から少し離れたところでも

「てれっちゃて可愛いな〜萌香ちゃん♡」

羽が笑顔で萌香を突いていた。


「ま、何はともあれ無事目標がクリアできたんだ。早くエレスに戻って地球に帰ろうぜ。」

みんながうなずく中、一人だけ考えているものがいた。


「まって、この状態ってちょっとまずいかもしれない。」


「なんでそう思うんだ音符、天使たちの命令で魔王を倒した。なら感謝しかないんじゃないか?」

音符は確かに勘がよく当たる。その音符が言うのであればあながちまずいというセリフも納得できる。


「零くんならアニメ見てるからわかるかもだけど。目的を達成した勇者は危険だから処理しようみたいな流れ。」


「あ〜確かにその流れはあるな。しかも処理されるのは長年仕えてた人でもこの先危険と判断されたら、

 消されるというのはあり得る。それに俺たちはこの世界に来て最強を2日で倒した異常な連中だ。

 俺がエレスの王なら元の世界に返すのはリスクが高いし、裏切りを考えて処理は妥当と思う。」


「本当にそんなことあるの?英雄でしょ?何年もこの世界を脅かしてきた悪の元凶を処理したのに。」

響子が暗い顔して言った。


「最悪の可能性を考えて行動するのがベストだと俺は思う。音符・零。二人がいなかったらこんな

 こと考えることもなかったよ。本当に助かったよ。」


「あくまで可能性だから確定とは言えない。安全に行くなら萌香ちゃんの《運命》で自由にさせないことだけど。

 万が一既に地球がなくなっていたり、帰る手段が実はないってこともあるかもしれない。

 だから彼女らの本心を確かめてからの行動がベストだと思う、けどリスクがでかいよ。12神の実力もわからない

 きっとEXスキル持ちだと思う。まずはヤハウェをどうにかするしかない、かも。」


「もし俺たちを処理するつもりなら、ヤハウェの対処に大人数で挑みたいが12神がどれほどかにもよるな。

 まず俺が伝令がかりとして魔王死亡の報告をする。そしてどうしますかと聞くからその答えで行動を開始しよう。」


おそらく危ない行為だけど、誰かがするしかない。

なら俺がするべきだ。


「みんなは無空間にて待機。ヤハウェの対処には、羽・蒼士・萌香を当てて他は12神を倒すために残って欲しい」


「少し待ってくれない?」

音符のスキル《音色》にて考えていた。音色の効果はベストな動き、異なるものがわかるというイマイチ俺には

理解できない能力だ。


「ベストは羽ちゃんと蒼士の二人を当てるべきだね。羽ちゃんの能力の《平等主義》はヤハウェに当ててスキルを封じたい。

 封じたヤハウェを蒼士の《永氷》で凍らせて破壊。萌香ちゃんを12神に当てるのはあっちのスキルの重ねがけを止めるため。」


「だったら、萌香を尚更ヤハウェに当てた方がいいんじゃねーか?」蒼士質問した。


「メンタル的にもできれば龍ちゃんのそばから離したくない。」真顔で音符が言う。


「ちょい待て!音符さっきのことは忘れてくれ!」俺が即座に注意した。


「メンタル的にってのは本当。龍ちゃん萌香のことが心配で動きが悪くなるかもしれない。もし現場でそうなったら

 危ない。それに私のEXスキルを信じてよ。これがベストだよ。」

音符は俺のことを考えてくれたのか。


「ありがとう音符。その案で行かせてもらう。音符の案で行動する。ただあくまで可能性の話だ。覚悟を

 決めておいてくれ。もし帰れなくなったら俺たちが楽しく暮らせる国を作ろう。準備はできた。俺に何かあったら

 ここからの指示は紀良っち、一時的に頼む!楽!《配置》の力で俺をエレスの傭兵がいるところに飛ばしてくれ。」


「任せときな、まあ龍ちゃんに何かあるとは思わないけれどさっきの焦り事件があるから準備しとくぜ!」


「了解、ここからは堅物龍だな無事帰って龍と萌香ちゃんの結婚式だな!」

紀良と楽が飛ばす間際に余計なことを言ってきた。


「うっさいわ!後で覚えてろよ楽このやろー!」


というやりとりがあり、エレスでの出来事に繋がる。



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