1話 魔王城での出来事 前
「《無空間》で考えていた連携を用いて輝国エレスを侵略する。簡単ではないと思うがみんな気をつけてくれ。
敵の対処が一通り終えたらまたここに戻ってきてくれ。では、行動開始!」
俺のことばを聴き、みんなが行動を開始した。
《無空間》で考えた連携とは、戦闘スキルと違い、サポートに特化してると思われるEXスキルを同時に発動するものだ。
本郷の《精神回路》と目橈の《俯瞰》で視覚を対象に与え戦場での動きをスムーズにすることだ。
さらに、俯瞰で見た人間の配置を楽の《配置》のスキルで操作する。万が一危険になった場合はこの連携が
必要になる。危険と判断したら配置で無空間に送りそこで絵里の《完治》により回復するという連携だ。
また誰かしらが倒れようと俺がいれば対処ができる。
だが、安全策はあるがクラスのみんなが心配だ。12神には簡単に勝てたが、魔王との戦闘で疲弊している
かもしれない。最悪怪我人が出るかもしれない。
俺が考えていると横から声をかけられた。
「はい、斬った!」
元気な声が室内に響いた。
声の主は萌香だ。
「これでクラスのみんなは無事に戻れるよ。」
萌香のEXスキルは《運命》対象が考えていること・行動すること全てがその結果に届かないという能力だ。
「おい、驚いただろ。そのスキルは使いようによっては最悪な未来になるんだから仲間に使う時は慎重にしてくれ。」
「え〜〜だってさ、その顔は誰かを心配している顔でしょ?何年一緒にいると思ってんのよ。
考えてることなんて私と絵里にとっては大体想像がつくのよ。」
萌香と絵里は生まれてから17年間幼馴染としてずっと一緒にいた。
そして本当に当たっていたので何も言い返せない。
「私はね、魔王戦でのこと結構落ち込んでるんだからね。どうせ後悔するなら力を使わずに後悔するより
持てる力を使い後悔する方がいいです。それに今は絵里のおかげで多少のミスは平気だし。」
少し顔を赤くして言った。
魔王戦でのことは萌香と俺は特に忘れたいことだったなぜなら
〜〜〜〜〜魔王戦にて〜〜〜〜〜
「よし、倒せた!」
戦闘開始1分もかからずに全員無傷で勝利を収めた。
しかし、魔王は突然叫び始め、体に変化が起き始めた。
第二形態がくる!どうなるんだろうか、と俺も含め男はみんな思っただろう。
だがその期待は一人の女性によって砕かれた。
「はい、切った」そう、萌香のEXスキル《運命》だ。
「雑魚だな。」澄まし顔で萌香がいった。
「いや、変身は待つのが鉄則ってかお約束だろ!」とアニメ好きの零が反応した。
零の意見にみんなうなずいた。
「うっさい!そんなの知らないわよ!魔王を倒したんだからさっさと帰るわよ。」と機嫌を悪くした。
その時、おそらく俺以外のクラスメイトは油断していた。魔王が消滅する瀬戸際に何かを
唱えていたことに気づけた。俺は即座にみんなに指示を出した。
「かまえろ!何かくるぞ!」言い終わると同時に魔王から黒い何かが萌香目掛けて飛んできていた。
俺は考える前に体が動いていた。萌香を守るという行動理念のもとに。
体にモロに当たった黒いものから文字が体に浮かび上がり時間が表示された。
00:05:45
と時間がでた。刻一刻と時間が減っていっていた。
とんでもなさそうな大技を喰らったという恐怖が俺を襲った。
その時扉が開けられた。「魔王様!何事ですか。」おそらく身なりからして
敵の幹部と見受けられた。