079 選別開始
国王が暗殺され、国民の誰にも知られることなく占拠された東ペビア国の、とある村。いくつかの大きな畑は、この村の役割を表しているかのように、堂々と存在している。
そこには、ウェーブのかかった短い髪の女が、なにやら小型の通信機で連絡を取っている姿があった。
「ネリゲール。そこはこの国で1番大きな村だ。なるべく綺麗な状態で頼むぞ。」
「はっ。総帥。」
女は、総帥の指示のもと、自らの部下に行動させる。
「いい?ニルグロス。攻撃するのは最初の1発だけ。ビビらせてから、速やかに連れ去るのよ。」
「イッパツ。オオキイ。」
大きな身体と、岩のようにごつごつとした肉体を持つ男。ニルグロスと呼ばれるその男が、ネリゲールの命令を受ける。
直後、ニルグロスは、その頑丈な腕を大きく振り上げた。音が爆発したような、大きく重い音が、辺りに広がる。
「……ナンニンカ、マキコンダ」
村で1番大きな建物を狙ったようだ。直撃は免れたが、総帥の司令通りの結果では無かった。
「ったく、またお前は……」
ネリゲールの反応から、これが初めてでないことは明らかだった。彼女は後ろで呆れたように頭を抱えている。
大地が割れるほどの轟音を聞き、混乱した人々が外へ流れ出てくる。眠っていたはずのこの村は、人々の恐怖の叫びや、絶望の嘆きで溢れかえってしまった。
「急いで、ラーラ。さっさと片付けるよ!」
「お、ネリゲールじゃん。これから地下室?」
村の襲撃を終え、帰ってきたネリゲールは、宮殿内でデルッツと出会していた。
「そうなんだけど、ニルグロスのやつ、また何も考えないでぶっ壊しやがった。」
「おいおい、傷つけたら軍隊で使えなくなるだろ。団長に殺してもらうしか無くなっちまうぜ。」
「正直、団長が殺す価値もない奴らばっかりだったわ。あんなんじゃ、殺したって吸収できるパワーはほんの少しよ。」
「だったら捨て駒として使えたのに。本当もったいないことするなぁ。グラト・Nは。またスピラに怒られるぞ?」
「……うるさい!大体、私達親衛隊の目的は──」
デルッツのからかいに、反論しようとしたその時、耳につけていた通信機から一言、団長の冷たく、坦々とした声が聞こえた。




