064 アンナ
後日、ディープの召集により、六槍師全員がロワー市にあるアカツキ義勇団の道場に集まった。
「ディープ、一体なんなんだ?急に呼び出して」
「クロガネ、ちゃんと説明するからあと少し待って。もう一人、今から来るから。」
かなり待たされているのだろう。落ち着かない様子のクロガネを、呆れた様子でディープが静める。隣にいたエドも待ちくたびれたようだ。そしてクロガネは我慢ができなかった。
「迷ってるんじゃねえか?おいバンズ!ちょっと探してこい!」
「いやいやクロガネ……もう直ぐ来るって。」
それから10分程経った後だろうか。道場の扉が急に開いた。皆の視線の先には、癖がなく、艶やかな黒髪の若い女性が道場に入ってくる様子が映る。そして入ってきた女性はディープの横に立った。
「彼女は、ナツノの代わりに新しく六槍師に昇格したアンナよ。」
ディープが紹介すると、アンナも軽く頭を下げる。
アンナが皆の目の前から移動すると、誰かに小声で話しかけられた。
「アンナちゃん、よろしくね。」
声をかけたのはモエだ。いち早く慣れさせたかったのか、はたまた年が近いと感じたのか、友好的な態度をとっている。
「よろしく」
モエの気遣いに愛想よくアンナが応じた。
「さぁ、揃ったところで本題だけど。」
ディープの一言で全員の顔つきと、その場の空気が変わる。
「先日、私のところにAFFから電話があったの。」
AFF。世界国境連盟。世界の平和を維持し、諸国間で有効な関係を発展させるために世界各国の代表で結成された国際組織。そんなところから電話があったというのだ。
「AFFが何の用だって?」
早く言え。と言わんばかりにクロガネが質問する。
「実は、隣のテワ国で続けざまに失踪事件が起こってるの。被害者は全員一般人で、ある共通点があるらしいわ。」
「ある共通点?」
共通点。その言葉にエドが反応した。
「姿を消したのは皆子供なのよ。年齢で言うとだいたい15歳前後……ちょうどモエと同じくらいね。」
皆の視線がこちらを向き、気まずそうにたじろぐモエ。なんとか苦笑いでその場をやり過ごしてみせた。
「それで、私達にテワ国の調査をして欲しいって依頼が来たってわけ。だからまずは私とアンナ、それにバンズ。この3人でテワ国に向かうわ。アカツキ義勇団からも何人か連れて行くつもりよ。エド達はビバ帝国をよろしくね。」
こうして、再び他国に派遣されることになった六槍師達。
テワ国ではなぜ、モエと同じ年代の若者が次々と消えていくのだろうか。そのとてつもなく恐ろしい目的が判明するのは、もう少し先の話である。




