057 総力戦
ゼロとの戦闘を終えたバールは、自分から引き離されてしまった師匠の元へと急ぐ。そこには、ボロボロになったディープとメロルがいた。
「ディープさん!」
「大丈夫よ、バール。あんたは、王のいる所へ行って頂戴。」
師匠はそう言ったが、それは強がりだった。バールから見ても、かなり疲労しているのはすぐに分かるほど明らかだった。万が一の為、その場に残るバール。
ふとメロルに目をやると、彼女もまた苦しそうにしている。
「お前……さっき私に何した……? 」
「さぁ、なんでしょうね。動かないならトドメ刺しちゃうわよ? 」
相手に爪を刺すと、一時的に相手を泥酔状態にできる。それがディープの能力だった。その攻撃を受けたメロルは、思い通りに動くことができない。
「バール。人を心配する暇があったら早く王の所へ行きなさい。」
バールはそれに従った。王がいる城の中を目指して移動した。
「さぁ、どうする? 」
観念しなさい。と言わんばかりにメロルに詰め寄るディープ。彼女が最後の一撃をメロルに打とうとしたその時。
急に目の前を何かが横切った。そこにメロルの姿はない。
「フローリッヒ?!お前はフィリップ様の所にいろって……」
フローリッヒがメロルを助けにきたのだ。
「ちっ!逃げられた!」
ディープが目で追うと、メロルを抱え、城の方へと逃げるフローリッヒの姿があった。
「フィリップ様にメロルのサポートをしろって頼まれたんでね。全く、情けない。」
するとそこにエドがやってきた。フローリッヒめがけて上空からパワーの弾が飛んでくる。
フローリッヒはパワーを背中に集中させてそれを防ぎ、王の元へと急ぐ。
「エド!」
ディープがエドに駆け寄る。
「くそ。弾かれた……。」
2人は急いで移動し、逃げた敵を追いかけるのであった。
ビュウが西陣営に着いた頃には、もうそこに兵士の姿は無かった。もちろん、味方の兵士も。
「どうなってんだ? 」
彼の金色の髪は、返り血で部分的に赤く染まっている。
「ん?地面に……穴? 」
彼は穴の開いた地面を発見した。どうやら落とし穴らしい。
「なんだこの部屋……落ちたらどうすん……って、ハヤト?? 」
そこにはハヤトが倒れていた。
ハヤトの先の方に目線を向けると、黒い血溜まりの上に肉片のようなものが落ちている。辺りは生臭い臭いが充満していた。
「うわっ…なんだこれ…気持ち悪い……」
足を滑らせないよう、慎重に穴の中へ入り、ハヤトを担ぐ。
「おい、ここで何があったんだよ……」
彼の背中に身を委ねているハヤトに声をかけても、目が覚めることは無かった。
裏庭を抜け、救護係のいる場所へハヤトを連れていく。
「なぁ、ここにバールとか来たか? 」
消えた西陣営の兵士の行方が気になるビュウ。
「いえ、ここに来たのは爆撃を受けた人達だけで……」
「じゃあどこに行ったんだ一体……」




