005 ラキオ
バール達の街からかなり離れたとある大陸の小さな国。街はひどく荒らされており、崩壊した建物からは煙が上がっている。
壊滅状態の街の中心でヒトミとメグミと名乗る2人の少女がこんな会話をしていた。
「もうこの辺りは全て終了したわ。」
彼女らの部下と思われる兵士達がヒトミの目の前で頭を下げている。
その隣に、立っているのはメグミの方だ。
「ヒトミ、楽しそうだった」
どうやら破壊を楽しんでいたらしい。
その後ヒトミが意味深な言葉を呟く。
「次は、ビバ帝国ペノー市」
〜ビバ帝国ペノー市〜
「帰って…きたぞ…… 」
ボロボロの姿でバールが玄関を開けると、そこには一匹の犬がいた。
「あらおかえり〜ちゃんと帰ってこれたわね」
台所ではディープが夕飯の支度をしている。
「ラキオ〜餌あげるからこっち来なさい」
「わんっ!」
ラキオ?初めて聞く名前だ
「あれ、あんたラキオ見るの初めてだっけ? 」
「初めてだけど…でけえ犬だな」
バールの上半身ほどある体は、とても歩きにくそうだ。
「わんわんっ!」
「この子ね〜初めはとっても小さかったのにいつのまにかこんなに大きくなっちゃって。そうだ、この子の散歩お願いしてもいい? 」
帰ってきたばかりのバールはヘトヘトだ。
それでも頼まれたことをやるという条件でここに住ませてもらってる立場上、何も言えなかった。
「わかったよ〜ほらラキオ、餌食べたら行くぞ」
「わんっ!」
「あ、それと私夜用事があるから、ご飯も作って食べといて」
ディープは夜中出かけるらしい。初めて会った時、ひどく酔っ払っていたことを考えると、たいした用事じゃ無さそうだ。
「え〜〜〜??? 」
これがバールのせめてもの抵抗だった。