048 フグマールの隠れ家
「おいハヤト、絶対に離れんなよ」
西陣営では、迫りくる敵兵を倒しながら、バールがハヤトにこんな言葉を投げかけていた。
「そっちこそね。」
それにハヤトはこう答える。2人とも、訓練でかなり成長したようだ。
「こんなやつら、あの訓練に比べたら……」
バールは訓練の記憶を思い起こす。
「ここがお主らの訓練場じゃ。」
テツの姉に案内されたのは、あまり広くない真っ白な空間だった。
「ここが? 」
バール達はこんなところで何を鍛えるのだろうかと疑問に思った。
「正確には、訓練すると言うよりお主らの訓練でのダメージをリセットする場所じゃ。」
そう。それはその日のうちに負ったダメージや怪我なら、どんな状態でも治してしまうという不思議な部屋だった。一度入ると、一定時間過ぎるまでは自力で出ることはできない。
「わしは元々ビバ帝国で救護係として戦争に参加していた。わしはパワーを物体に注入すると、物体を思うがままの状態にできるのじゃ。」
この部屋はテツの姉が羅天術でパワーを注いだらしい。それを聞くだけで、なぜか力を与えられた気がした。
「訓練するのはここではない。今からお主らには二手に分かれてホカミナシアの大木とクロンメチパの海岸に行ってもらう。そこからホカミナシアの木の欠片とバモン貝の貝殻をここに持ってくるのじゃ。では、スタート!」
そうやって特訓はいきなり始まったのだ。
「信じられないくらい堅かったよなぁ、あの木。」
バールが懐かしそうに呟く。
「あの貝殻だって、まさかあんなに大きなバケモノだとは思わなかったよ。」
ハヤトもそれに乗っかる。
アカツキ義勇団は日々進化していった。訓練による疲れはすぐにリセットされるから、いくらでも身体を鍛えることができたのだ。
いつのまにかホカミナシアの木の欠片と、バモン貝の貝殻を容易に手に入れることができるようになった彼らは、さらなる試練を与えられる。
だんだんとレベルが上がっていく老婆の用件を、アカツキ義勇団たちはクリアしていったのであった。
「わっ!」
突然、バールの後ろで、ハヤトが声を上げた。
「どうした? 」
バールは振り返るが、そこにはハヤトの姿は無かった。




