043 ゼアの天山
話を現代に戻そう。サンダースは森の中にある研究所の前に立っていた。人の手が加えられてないであろう森の中は、草木が生い茂っている。
今、この研究所では何が行われているのかはサンダースには分からなかったが、きっとあの計画を進めている。なぜかそんな自信があった。
研究所に入ると、長い髪の毛の男が回転椅子に座っている。
「久しぶりだな。我が息子よ。」
男はこちらに身体を向け、そう言った。
「あれからどうだ?少しは協力する気になったのか? 」
「んなわけないだろ。絶対にお前は間違えている。」
「父親にお前とは随分ひどいじゃないか。もう以前の様に父親として見てもくれないのか。変わってしまったな。」
「変わったのはお前だ!まんまと利用されやがって……そんなことが正しいわけないだろ!」
「……少し黙れ。」
男がそういうと、サンダースが立っていた床が開いた。からくり仕掛けの地下室に、サンダースは閉じ込められてしまう。
「どういうつもりだ!俺は絶対に協力するつもりなんてないからな!」
サンダースの叫びは上の研究室には届いていない様だった。
「ンフフ……私の可愛い子供達。いよいよその力を見せる時です。」
男は研究室にあるボタンを押した。
次の瞬間、地下室の扉が開き、中から死んだ表情をした人間が出てくる。
もはやこれを人間と呼んでいいのか。表情を全く変えることなく、サンダースに近づく。
「排除。」
そう呟いた途端、出てきた人間はサンダースに襲いかかった。人間とは思えない速さに加え、獣の様な力強さを兼ね備えた人間兵器は、サンダースを攻撃し続ける。
「なんだよこれ……受けきれねぇ」
サンダースも応戦するが、確実にダメージを蓄積される。
しかし、サンダースは手持ち無沙汰でここに来たわけではなかった。
ここに向かう途中、知り合いの医師のところに寄り道をしていたのだ。
その医師にもらったシールを兵器に貼り付ける。
すぐには効果は出ない様だ。それでも、サンダースは戦い続ける。
突然、後ろの扉が開いた。今度は剣を持った人間兵器が襲いかかってくる。
1人目よりも明らかに速いスピードで迫ってくる「それ」は、いとも簡単にサンダースの右足を切り落としてみせた。
立つことが不可能になったサンダースは、無表情の敵の前になす術が無かった。
2人目の人間兵器が手に持っていた剣を振りかざす。
そして、サンダースの身体は真っ二つにされ、空っぽの物体となってしまった。




