042 ハヤトの正体
ロスクルド帝国による洗脳と、敗戦による混乱で気が狂ってしまったサンダースの父は、脱獄後古代兵器の復活と、新たな計画を企てることにした。
その計画とは、人類そのものを兵器にしてしまうものだった。
人類クリーガー化計画と呼ばれるそれは、ある薬を人体に投与し、ある条件を達成すると身体の神経が研ぎ澄まされ身体能力を桁違いにパワーアップさせてしまう恐ろしいものだった。
まずは実験として、ロスクルド帝国の王族にこの薬を投与してみた。特に何も知らせず、条件がクリアされるのを待った。これにより王族の血は特殊なものへと変化したのだ。
次に彼は、貧しい地域で暮らしている子供達を集めた。言葉巧みに誘導したり、無理やり連れ去ったりと様々な手段で純粋なその心を悪に染めていった。
彼は王族の人間と、自分で集めた子供達を兵器として扱い、人類を滅ぼす計画を企てたのだ。
彼が集めた子供達の中に、白っぽい髪の毛をした1人の少年がいた。名をハヤトと言い、後にアカツキ義勇団に入りバールと共に戦うことになる少年。
ハヤトは貧しい母子家庭で育った。父は幼い頃にすでに亡くなってしまっていた。
ハヤトはよくペットボトルなどの資源を売りに遠く離れた街に行かされていた。
いつも通り、大量の資源を持って出掛けていた時だった。
突然背後から押さえられ、連れ去られてしまう。ハヤトを連れ去ったのはサンダースの父の仲間だった。
ハヤトはそのまま眠らされ、例の薬を投与される。
目が覚めると白い壁の部屋だったが、ハヤトは自分が何をされたのか分からなかった。
その頃のサンダースはというと、北方コヘバス国を植民地としていたロザオーン帝国の兵士として戦争を止めることに貢献。それが認められて六槍師の名を与えられていた。
ある日、彼が訓練をしている時に1本の電話が入る。それは父からだった。
サンダースは父が今進めている計画を聞かされる。お前も手伝わないか?と誘われ父の研究所に案内される。
サンダースは協力するために言われるがまま研究所に行ったのでは無かった。計画を止めようとしていたのだ。
「親父がやろうとしていることは間違ってる!頼む、どうか考え直してくれ…… 」
サンダースが説得しようと試みるも、時すでに遅し。
「いいか?世界は私のものになろうとしているんだ。今更止められるような話ではない。」
どう説得しても父の心には響かない。
すると、父が1人の子供を連れてきた。それはハヤトだった。
「こいつには特殊な薬を投与してある。あとはこいつに一手間加え、戦闘の基礎を叩き込めば人間兵器の完成だ。」
そう言って彼は不気味な笑みを浮かべる。
彼が連れてきた子供は、とても純粋な目をしていた。
(こんな小さな子が、人類を滅ぼす兵器にされるなんて……)
サンダースは、どうにかしてこの少年だけでも保護しよう。そう決心した。
父とその仲間が目を離した一瞬の隙に、ハヤトを連れ去り、研究所から脱出する。
ハヤトは不思議そうな顔をしているが、
「俺が、絶対に救ってやるからな……!」
そう言ってサンダースは知人の医師に頼み、ハヤトの記憶を消し、自らの元で保護することにしたのであった。




