041 昔話
家を後にしたサンダースは、静かに一人でゼアの天山へ向かう。
黒い雲に覆われているせいか、周りより暗くなっている所にその山はあった。
ゼアの天山。標高9236メートルのその山は、未だに分かっていないことが多く、人類が足を踏み入れたことのない土地もあるという。
「あの時の話が本当なら、そろそろ親父が動き出しちまう。ロスクルドの連中が暴れてる今動かれたら、世界は……。」
そう言ってサンダースはゼアの天山の麓にある深い森の中へと入っていったのだった。
……少し昔話をしよう。5年前の戦争が始まる前の話だ。
サンダースの父は、世界的に有名な探検家だった。世界のあらゆる未知の領域に足を踏み入れては、そこで多くの発見をしていた。
そんな彼がゼアの天山で人類未踏の地を目指していた時、ロスクルド帝国の軍事施設を発見してしまう。そこでは、様々な古代兵器が存在していた。
それを目撃してしまった彼は、すぐさま仲間に報告しようとするが、近くで見張っていたロスクルド兵に見つかってしまう。
ロスクルド帝国は彼を殺そうとしたが、顔の知れていた彼は殺されずに洗脳され、利用されてしまったのだ。
ロスクルド帝国側についた彼は、科学者と共に新たな兵器の開発や、古代兵器の整備に充てられた。
その裏で戦争を繰り返し、領地を広げていく帝国。世界はロスクルド帝国に支配されるかと思われた。
そんな時だった。
当時のロスクルド帝国の王が暗殺されたのだ。それはロザオーン帝国の暗殺者によるものだった。
それに伴い息子のジャックが王の位を継承。王を殺されたロスクルド帝国は世界に宣戦布告することとなる。
それに当時ロスクルド帝国と同盟を結んでいたクベック大陸のウメ王国や、アメーメー大陸のガレーラ大国なども参戦。争いは3年もの間大陸を挟み世界各地で行われた。
しかし、ロザオーン帝国やビバ帝国を始めとする勢力に同盟国側は敗れてしまう。
結果、ジャックは即位して間もなく戦死。ゼアの天山で兵器の開発をしていたグループも一斉に逮捕されてしまう。もちろんサンダースの父もその中に入っていた。
逮捕されてしまった彼は世界の名だたる悪人が収容されるエズベバに島流しにされた。
ガレーラ大国の所持する島で囚人生活を送っていた彼だが、ロスクルド帝国の同盟国だったガレーラ大国の協力により、脱獄に成功。
しかし、脱獄後の彼の人格は、探検家だった頃のものとは全く別のものとなってしまっていたのであった。




