040 別れ
バール達の訓練が行われている横では、1人の六槍師が動き出していた。自分が育てた弟子を守るために。
〜アメーメー大陸〜
バール達の住むピス大陸から広い中央大海を渡った先にあるアメーメー大陸。
世界一の経済大国ロザオーン帝国と、世界の極悪犯罪者の流刑地・エズベバで有名なガレーラ大国。広い敷地では酪農が発達しており、世界最高峰であるゼアの天山がある北方コヘバス国の三国で構成されている。世界的にみても特徴的な大陸だ。
雄大な自然と、遠くに走る山脈に囲まれた北方コヘバス国の、とてもとても貧しい地域に、その村はあった。
「ここも変わってねぇなぁ。」
ある1人の男がそう呟くと、近くにあった一軒家に入っていった。向かいの家は相変わらず大きな牛を飼っている。
ジガーセ村という名のその村の住民の多くは、家畜を育てそれによって収入を得ている。村には大小様々な牧場があった。
その一軒家の中では、エプロンを着けた女性が急に入ってきた男に驚き、手に持っていた皿を落とした。
静まり返る空間に皿が割れた音が響く。
「サンダース……?あんたサンダースよね?!」
「よう、久しぶり。母さん。」
中にいた女性はサンダースの実の母であった。若い頃から兵士として戦地に赴いていたサンダースにとっては、これが久しぶりの帰省だったのだ。
「待っててね、今すぐコーヒー入れるから。」
そう言って慌てて準備をする母に、
「悪いけど、そんなのんびりしてられねぇんだ。まだ用事が残っててさ、すぐに出なきゃいけない。」
母は残念そうにしていたが、サンダースが大丈夫と安心させる。
「事が終わったらまたすぐ帰ってくるさ。」
「急に帰ってきて、なんかあったの? 」
母がそう尋ねると、横の棚に立てかけてあった写真立てをちらりと見て、少しの沈黙の後、サンダースが答える。
「……ゼアの天山に行く。」
それを聞いた母の表情が、サンダースの言葉の重大さを物語っていた。
「そんな心配そうな顔すんなって。」
そう呟くサンダースに母が一発平手打ちを入れる。サンダースは別に驚いた様子ではない。こうなることはある程度予想できていたのだろう。
「あなたは、どうしてそんな…… 」
「これは俺と親父の戦いだ。この目で今何が起こっているのか確かめる必要があるんだよ。」
そう言ってサンダースは家を出て行ってしまった。




