027 限界
〜セラドンマー大陸・ニラドン国〜
ずしんずしんと、その男の足音は重かった。
六槍師最強のテツに向かってくる男に、自我はあるのだろうか。特に何か話すわけでもなく、ただひたすらに真っ直ぐ歩き続ける。
「こやつ、隙だらけじゃわい」
テツの攻撃がバーグラーに命中する。
このテツもサンダースと同じ、素手で戦う能力者だった。
しかしテツの攻撃はバーグラーにはあまり効いていない様子だ。
「うーむ、なかなか硬いのう。」
「ぐぉぉぉぉぉぉぉお!」
再び距離をとるテツ。雄叫びを上げ、そのテツを追いかけるバーグラー。
「甘い」
テツはバーグラーの攻撃を軽く躱している。
代わりに攻撃を受けた木がめきめきと音を立てて倒れていく。
自分の攻撃がテツに通用しないと判断したバーグラーは、さらにスピードとパワーを上げ始めた。
「おぉ、まだ上があったか。」
しかしそれでもテツの動きは捉えられない。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
何とかして攻撃を当てようと腕を振り回し続けたバーグラーだったが、何か様子がおかしい。
「限界が来よったか」
ハーロン博士の人体改造により、驚異的なパワーを手に入れたバーグラーだったが、その代償に彼の身体は悲鳴を上げていた。
全身の筋繊維が壊れ、身体中肉離れしているかのような激痛がバーグラーを襲う。
「ぐ……が……… 」
「ここまでじゃな。」
テツの拳がバーグラーを沈める。
氷山が崩壊するような轟音が鳴り響く。
テツの背後には、動けなくなった敵の身体が転がっていた。
〜ピス大陸・ビバ帝国〜
「これはひどい…… 」
クロガネの知らせを受け、ビバ帝国に戻ってきたのはバンズだった。
アメーメー大陸に行く途中、ヤマト王国の襲撃に遭い、引き返したのだ。
「サンダースは? 」
クロガネが聞くと、
「師匠なら、別の船でアメーメー大陸に行きました。」
「アメーメーに?ロザオーン帝国にでも行くつもりか? 」
「ヤングもやられちまったか。」
アメーメー大陸のグループはヤング班を失うという痛手を受けていた。
「ナツノさんとゲラビホ達も…… 」
ここピス大陸のグループも残ったのはクロガネ班だけだ。
六槍師を1人失うというのはとても大きな損失だった。
「ロスクルド帝国、一体何人殺してんだ…… 」
「他の大陸の奴らももしかしたら… 」
〜クベック大陸・ウメ王国〜
ロスクルド帝国のレイとアラン達と戦っていたクベック大陸グループは、被害を確認すべくアーグラパー王国へと進んでいた。
「あいつら逃げたわね。」
「ええ、仕留めきれませんでした。」
モエ達救護係は先に街へ行き、まだ救助が行き届いていない地域を探す。
「他の大陸は大丈夫かしら」
「さぁ。今はここの事でいっぱいいっぱいですよ。」
ディープはやはりバールが心配らしい。
自分の初めての弟子だから、当然だろう。
そんな会話をしているうちに、エドとディープも市街地に到着した。




