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09. もらった宇宙船を見に行く2 着艦

ブックマーク、評価、誤字報告ありがとうございます。

09. もらった宇宙船を見に行く2 着艦




「アギラカナ第1宇宙港到着十分前」


「正面中央に小さく見えるのが、アギラカナです」


 横に立つアインさん。二時間近く立っているけど大丈夫なのかな?


 前方のスクリーン?の真ん中に小さく黒い丸が見えた。それが目に見える速さで大きくなっていく。 


 しばらくすると、表面で何かが発光しているらしくいろんなところがチカチカしているのが分かるようになった。周りには芥子粒(けしつぶ)みたいな黒い点が何点か見える。それが動いているところを見ると、その黒い点は宇宙船の(たぐい)かも知れない。


 さらに接近すると、芥子粒に見えていたのは、周りに尖った形の小型の宇宙船を引き連れた丸い宇宙船でそれが何組かゆっくりと移動しているところだった。正面の黒い丸が徐々に厚みを帯びた球体に見えはじめ、その球体に()いた何個かある穴から光が漏れている。


 これってどう見ても星だよな。


「戦隊、アギラカナ第1宇宙港への進入航路に乗りました」


「戦隊微速に減速」


「戦隊微速!」


『ようこそ、アギラカナへ。こちらは、第1宇宙港管制です。これよりLC-0001の操艦を引き継ぎます』


「アギラカナ第1宇宙港の管制に操艦代わります」


 接近するにつれ、球体が急速に膨れ上がり側面スクリーンからもはみ出してしまった。


 このまま行くと激突するー! とまたもアレが縮みあがってしまったが、前方をよく見ると、先ほどの大きな穴の一つに艦が入って行ったようだ。距離感が掴めないのでおおよそだが、穴の直径は100キロはあるんじゃないだろうか? 点々と照明が奥の方まで六列で続いている。穴の奥の方は青く見える。この穴、かなり深いぞ。


「アギラカナ最外層通過しました。このシャフトの底部が第1宇宙港になります」とアインさん。


 最外層があるなら少なくとも複数の層があるんだろうなあ。


 俺の乗った宇宙船はどんどんと穴の中を下りてゆく。


 どこまで続くんだ。前面のスクリーンに青く見えていた明るい場所が近づいて来た。と思ったら、穴がぐるっと回った。艦が方向転換したらしい。目が回る。


「本艦は、シャフト内大気層に進入します。現在シャフト内大気の組成は、地球と同じものとなっており、第1桟橋周辺の気圧は1気圧に調整されています」


 その言い方だと、俺用に変えたってことだろ、そこまでするか? 


 さらに方向が変わって、長い棒が突き出た壁が近づいてくる。


「本艦、第1桟橋に接舷します」


 加速、減速感が全くないのでわかりづらいが、この船は停止したようだ。


 一拍間があり、それから、艦長ほか指令室にいる全員が立ち上がり、こちらを見ている。


「ありがとうございます」


 適当にお礼を言っておいた。そしたらみんなで右手を上げて、例の敬礼?をしてくれた。また、立ちっぱなしにしてはまずいので俺もまねして、答礼もどきをしておいた。


 そのあと、来た時と同じようにアインさんに連れられ指令室を出て、エレベーターに乗り込んだ。


 着いた先は、どうも入って来た時のエレベーターホールではないらしい。エレベーターの本数が四本しかないようだ。来た時のエレベーターホールには十本はあったような。


「第1桟橋には直接コア内部に進入できる連絡通路が設けられています。通路内には専用シャトルが走っていますので、それに乗りコア内部の艦長公室まで移動します。これまで、艦長不在のためシャトルが使われたことはありませんでしたが、きょう初めて人を乗せての走行になります」


 公室とか専用シャトルとか。艦長って何さまなんだ?


 艦を下りてシャトルに向かう途中、上を見上げると青い空があった。井戸の中から空を見上げたらこんな感じがするのだろうか? 意味は違うのだろうが、『井の中のかわず』を思い出してしまった。


 コア内部に行くという目の前のシャトルは、リニアモーターカーそっくりの二連の車両で塗装はされていないようで銀色をしており車輪も窓も無かった。車両内部には非常にゆったりとしたシートが据え付けられていてそれに座らされた。


 プラットホームから発車したシャトルは、音もなく車両の断面と同じ形の断面を持つトンネルに侵入していった。


 すぐに背後でトンネル入り口の隔壁が閉じられ、トンネル内は徐々に空気が抜かれてゆき、何枚かの隔壁を抜けて行くうちに、トンネル内はほぼ真空状態になるそうで、その時点でシャトルの速度は秒速三キロを超えるらしい、実にマッハ9である。


 すぐにシャトルの減速が始まり、何枚かの隔壁を抜けトンネル内が通常気圧に戻り、最後の隔壁が開かれ終点に到着し停止した。 


 150キロを三分で走破したそうだ。これらの情報も含め、シャトルに乗っているあいだに外部も見えないばかりか走行音も含め振動もなく加速度など感じなかったので実際はアインさんの説明の受け売りだ。


 転送装置があるなら、車両での移動は非効率なんじゃないかと言ったら、コア内部では安全のため一部の例外を除き転送は禁止されているそうだ。





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― 新着の感想 ―
[一言] おもしろいです。 どうかエタることなく頑張ってください。 応援しています。
[一言] アメリカで1980年ぐらいに計画があった弾丸列車プロジェクト 真空の筒の中をすっ飛ばす形式で速度はなんと時速1万キロ  これも同じたいぷだなーとおもってチョットニヨニヨしました。 真空になる…
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