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不当なる者世界に仇なす  作者: 黄金の右脚
すべては勘違いから
3/64

第3話 今こそ復讐の時だ覚悟しろ!


 俺、御剣みつるぎ 響夜きょうや

 

 さて。あの後に俺達はギルドで冒険者登録をした。

 登録には手数料が掛かるので、少ない有り金を全部使う羽目になったものの。俺達3人は冒険者としての仕事をできるようになる。

 

 登録後はモンスター討伐クエストをそつなくこなす。

 報酬金を稼ぎつつ、レベルを上げる。

 トントン拍子で上手くいっているが。それはファスト・フープの存在が大きい。

 彼女の強さ前では、ゴブリン程度のモンスターなら秒殺。

 お陰で俺は戦闘を見てるだけで経験値稼ぎができている。

 つまりは、楽させてもらってるわけ。

 短期間で、俺とコウマはレベルが4も上がった。


 残念ながらフープは元からレベルが高いので、レベルが上がらなかったが。この手のゲームなんかでは、レベルが高くなるにしたがって上がりにくくなるもの。

 これはなんとなくわかっていたことなので、割り切れている。 


「とりあえず、フープのレベルが1でも上がったら実行すっか」


 なお、実行されるそれは太子たこへの復讐。

 そのために着々と3つの準備を進めている。


 準備その1

 武器の調達。

 これは武器屋で刀3本を調達。

 5万アクアの鈍刀なまくらがたな

 ある程度稼げるようになってきたが、金に余裕ないからな。

 まあ、素手で戦うよりかはマシだろう。


 準備その2

 スキルの習得。

 多彩なスキルを得ることにより、いかなる状況においても対応できる万能の存在を目指す。

 スキルの習得にはまず相手からそのスキルを教えてもらう必要がある。

 ので、ギルド内の冒険者に、金払って片っ端からスキルを教えてもらった。

 弱いスキルが多かったものの、俺達は多彩なスキル持ちとなった。

 結果として、武器の方をケチることになってしまったが。後悔はしてない。


 準備その3

 戦闘力の強化。

 早い話がレベル上げだ。


 とまあ、太子との戦いに終止符を打つべく進められた計画はこんな感じ。

 復讐心を全開にして、全力で頑張っている。


 ◇


「ついにこの時が来たか!」


 昼下がり。

 

 俺、御剣響夜は王城付近で、クエストをこなすこと3日。

 ついにフープがレベルアップ。無論、その間に俺とコウマもレベルアップ。

 現在のレベルは、

 俺、8

 フープ、76

 コウマ、9

 となった。


「フープ、コウマ! 太子と戦いに行く。準備しろ」

「ハッ!」 

「わかった」


 フープはやる気満々に敬礼。

 一方、コウマはやる気なく、けだるそうに従う。

 

 同じ奴隷でもフープは聞き分けが良いが。コウマは渋々従ってる感じだ。

 随分と差が出たな。


「スキル《千里眼》!」 


 スキル《千里眼》を発動させ、太子を探す。

 スキル《千里眼》は遠方の視認、および暗視が可能になる。

 人探しと、狙撃にはもってこいのスキル。

 

「見つけた!!」 


 スキルのお陰で、労せずに太子のパーティーを発見。

 距離約2500メートル。

 ヤツらも王城付近の草原で、モンスター討伐クエストをしてるようだ。


「待ってろよ太子! 今こそ復讐の時だ覚悟しろ!!」


 先手必勝。

 全速力で走り、強襲をかける。


 ◇


「なぜだああああああああああっ!!」

 

 俺は御剣響夜。

 強襲するも早々にフープが倒されてしまう。

 しかも秒殺。

 

 これは思わぬ誤算。

 3対5と、数では不利ではあったが。高レベルのフープならば太子を倒せると高を括っていた。


「ウッ、クウッ……!」

 

 けれども予想は大きく裏切られ、フープは地面に倒れ込んで苦しんでいる。

 俺の計算が甘かった。スピード・パワー共に予想を遥かに上回っている。

 おまけに、太子の仲間も結構な強さ。

 少なくとも今の俺より確実に強い。

 太子がこれ程の力を持っていようとは。


「クソッ! どうすりゃいいんだ」


 切り札であるフープあ戦闘不能になった今、俺に勝ち目がないことを察した。

 余裕たっぷりの表情で、太子がじりじりと迫ってくる。

 恐怖から、頭の中が真っ白になりそうだ。

 

「ご主人様! 私にかまわずお逃げください!」


 フープが最後の力を振り絞って立ち上がると、俺を逃がそうとしてくれる。

 なんと主人思いの、いい奴隷だろうか。

 感動して涙が流れそうになった。


「生意気なヤツだ。お前ら、やってしまえ」

「「「「ハッ!」」」」

 

 太子の仲間達4人が、一斉にフープに襲い掛かる。

 

「逃げろぉ!」

「てめえ、主人よりも先に逃げるな!」


 フープが隙を作ろうとするなり、コウマは我先に逃げだす。

 なんと薄情な奴だ。プライドもへったくれもあったもんじゃない。

 見た目だけで選んだのは間違いだったか。


「《トレード》!」


 だが、一矢報いらねば俺の気が済まない。

 薄情者のコウマを放置して、スキル《トレード》を使い、太子の武器でも奪ってやる。

 

 スキル《トレード》は相手の身に着けているものを何か一つ奪い、自分の身に着けているものを何か一つを相手に渡す。

 言わば、強制物々交換。

 奪い取れるもの、渡すものは幸運値に依存する。自分で選ぶことができず、ギャンブルもいいところ。

 したがって、運が良ければ自分のクソアイテムを押し付けつつ、相手のレアアイテムを奪うことができる。

 だが、運が悪いと自分のレアアイテムを失うばかりか、相手の使い道のないアイテムをつかまされる。


「幸運の女神よ、俺に強運を授けたまえ!!」


 神に祈りを捧げつつ、恐る恐る手に握られたアイテムを確認すると。


「これはマナタイト!」

 

 手に入れたのは魔石・マナタイト。

 これは高密度に魔力を封じ込めた宝珠。魔法発動時にこのマナタイトから魔力を引き出す事で魔力の消費を肩代わりさせる事ができる。

 だが、使い捨てのアイテムであり、高価。

 

「これは!?」


 一方、渡したアイテムは俺の愛刀。

 左手に握られた刀を見て、太子は何が何だかわからず、目をパチパチと瞬きさせてた。

 

 レアアイテムを手に入れたが、唯一の武器を渡してしまった。


「あ!? それは私のマナタイト!」


 太子がアイテムを奪われたことに気づく。


「フープ、必ず助けに来る。だからそれまで生き延びててくれ! 《テレポート》!」

「承りました、ご主人様!」

 

 フープにエールを送ると、スキル《テレポート》で戦線離脱。


「あいつ、逃げやがった!」

 

 テレポートする瞬間、太子がわめいてるのが聞こえた。


 ◇


 俺はテレポートで、草原から程近い茂みに身をひそめる。

 レベルが大したことないので、遠くまで行けないのだ。


 それに、遠くまで逃げる必要もない。

 秘策があったのだ。

 

「マナタイトを使って、すげぇの召喚してやる!」


 秘策は、召喚士のスキルを使い、強力な召喚獣を召喚すること。

 呼び出せるものの強さは、注ぎ込まれる魔力に比例する。

 だから、魔力量の少ない俺には無用の長物と考えてた。

 けれども、魔力の消費を肩代わりさせる事ができるマナタイトがあるなら話は別。

 

「現れよ!!」

 

 マナタイトの全魔力を注ぎ込み、召喚魔法を発動させる。

 魔力を使い果たすとマナタイトが砕け、魔法陣が飛び出す。

 周囲は強い光に包まれ、徐々に召喚されていく。


「なんだぁ!?」


 徐々に姿がくっきりしていくが。

 召喚されたのは、――人間の女の子。

 そいつはロングスカートタイプの高そうな純白のドレスに身を包んでいる。

 金髪碧眼で一目見て貴族なのがわかる。

 

 正直、ドラゴンやグリフォンみたいな大型モンスターが召喚されると思ってたので、予想を裏切られた感じ。

 でも、悪い気はしない。

 見た目可愛いし。


「見つけたぞ!」

「こっちだ!」

「やべ! 見つかっちまった!」


 召喚が完了する直前に、太子の仲間の2人に見つかってしまう。

 多分、召喚時のアクションが悪目立ちしたんだと推測。

 油断も隙もあったもんじゃねえな。


「《テレポート》!」


 体勢を立て直すべく、召喚が99%の段階で召喚者共々テレポート。

 うろたえて、判断能力が鈍ってたが。これがベストな選択だと思った。

 ――少なくとも、この時は。


 まさか後々にあのようなことになろうとは。

 この時の俺は毛筋程も思っていなかった――


 

ファスト・フープのプロフィール

・性別:女

・種族:ブチハイエナの獣人

・年齢:22歳

・身長:168センチ

・体重:56キロ

・一人称 :私

・好きな食べ物:肉

・嫌いな食べ物:野菜

・趣味:体力づくり

・性格:冷静沈着で寡黙だが、生きるという執着心は強い。

・人物:コロシアムで戦っていた奴隷だったが、右足を悪くしてしまい奴隷商に売られた経歴を持つ。コロシアムで活躍する程の戦闘力があったが、上記の理由で現在は全盛期よりかは落ちる(戦闘力は全盛期の約70%)素手で戦うのが得意だが、武器での戦いもそつなくこなす。響夜の奴隷になり服従してるものの、本心では弱い響夜を見下している。自分が生き残るためなら、仲間でも平気で犠牲にする精神の持ち主。

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