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不当なる者世界に仇なす  作者: 黄金の右脚
すべては勘違いから
1/64

第1話 間違って召喚されたよ

定番の異世界召喚。

しかし……。


「どうしたものか……」


 俺、御剣みつるぎ 響夜きょうやは17歳の高校生。

 魔剣の勇者ではない。


 只今、中世ファンタジー世界みたいな異世界の城下町で、行先もなく歩き回っていた。

 

 この世界は――ロールプレイングゲームのような世界。

 レベルが存在し、モンスターなどを倒し、経験値を得て強くなる。

 そんな世界でジーパン、ポロシャツ姿の俺。はっきり言って浮いてるな。

 なんでこうなったのか。

 

 事のきっかけはおよそ5時間前まで遡る。


 ◇

 

 日曜日のお昼。

 俺は劣等生らしく自主勉などせず、自分の部屋でごろ寝しながら漫画読んでた。

 絶賛暇を持て余していて、だらけているのだ。


「休みの日は思う存分やりたい事をするに限る」


 などと、個人的感情を呟いたその時だ。

 俺の意識はスーッと遠くなっていった……。


「おお……」


 感嘆とする声に俺はハッと我に返る。

 纏まらなかった視点を前に向けるとローブを着た男達が何やらこちらに向って唖然としていた。


 ――辺りを見渡すと石造りの壁が目に入る。

 ちょっと見た感じ、ファンタジー物に出てくる城の中みたいな感じ。

 とにかく、見覚えのない建物だ。

 ついさっきまで自分の部屋で漫画読んでたはず。

 夢でも見てるのか?


「ここどこ? てか、なにがどうなってるのか説明してくれ」

「かくかくしかじかで」 


 説明によると、俺は異世界に救世主として召喚された。

「世界を脅かす魔王軍を倒してくれ」とか言われ。最初、訳も分からず混乱。

 面倒事に巻き込まれて、迷惑した。

 

「「「「なにとぞよろしくお願い致します」」」」


 ローブを着た男が深々と俺に頭を下げ、お願いしてくる。


「そう言われてもなあ。そもそも、元の世界に帰れるのか?」 

 

 などと、困って見せるものの。それ程深刻に思ってはいない。

 むしろゲームの世界に入り込んだみたいで、軽くハイになってるぐらいだ。


「ま、まずは王様と謁見して頂きたい。詳しいことはその場でお願いします」

「わかった。案内せい」 

 

 ローブを着た男の代表が重苦しい扉を開けさせて道を示す。

 で、俺は暗い部屋を抜けて石造りの廊下を歩く。

 途中に窓から覗く光景は、中世ヨーロッパのような町並み。

 王道の異世界ファンタジーを彷彿させる。

 表面では冷静を装うも。異世界に跳躍できたという夢が叶い、内心は大喜び。


 まあ、のんびりと町を眺めてる暇はなく。俺は廊下を歩き、謁見の間に辿りついた。




「ほう、こやつが選ばれし救世主か」

 

 高い天井の謁見の間。

 玉座に腰掛ける偉そうな男が俺を値踏みして呟いた。

 

 赤い王族衣装に身を包んだ――凛々しい青年。

 まるで剣闘士の様な風貌。

 少なくとも、ステレオタイプの王様のそれではない。


「ワシがこの国の王、アカイだ。救世主よ顔を上げい」


 偉そうな物言いだが。この手の王様は、だいたい偉そうのものと相場が決まっている。

 だからそれ程ムカつくこともなかった。


「さて、まずは事情を説明せねばなるまい。この世界は魔王に侵攻より、滅びへと向いつつある」


 状況がいまいちわからず、きょとんとする俺に合わせることはなく。王様は一方的に事の事情を説明する。

 

 なお、王様の話を纏めるとこうだ。

 突如この世界に魔王軍なる軍団が現れ、この世界を荒らしまわってるらしい。

 そこで、異世界から強者を探すことに。

 都合のいいことに、国を単独で滅ぼすことのできるほどの素質を持っている者を発見。すぐさま召喚した。

 誰であろう、その人物こそが俺だと言う。

 自分の事ながら、にわかには信じられん。


「勇者様、なにとぞお願いします」

「救世主様、どうか我らを救ってください」


 最初は疑っていたことに加え、恐怖やめんどくささから乗り気でなかったが。

 勇者だの、救世主だのと、多くの者から尊敬の目を向けられ、ちやほやされると段々やる気になってくる。

 期待されて微妙にテンションが上がってきた。

 

「任せろ。俺が世界を救ってやる」


 ついには心変わり。

 王様やその他大勢に自信満々に魔王軍退治を宣言する。


「なんと頼もしい!」

「ですね」

「流石は救世主様だ」

「エッヘン!」


 皆に褒め称えられて気を良くした俺は鼻高々。

 胸張って、すっかり天狗になっていた。


「王様!」

 

 突如、大臣らしき人物が血相変えて駆け足で現れる。


「何なんだ?」

「この者は救世主などではありません」

「なに!?」

「マジかよ」




 だが、程なくしてそれが手違いだったことが判明。

 皆が騒めく中、本来選ばれた者が連れて来られた。

 そいつは――学生服着た女だった。


「名を聞こう」

西村にしむら 太子たこと申します」


 礼儀正しく名乗る太子。

 多分、俺と同じ様に高校生ぐらいに見えるが。見たこともないデザインの制服だ。

 俺の通う学園の生徒ではないな。


 しかし、見目麗みめうるわしい。

 150センチにも満たない小柄身長。

 守ってあげたい系の、男子受けは良さそうな容姿。

 ロリ顔で、そこいらのアイドル並にかわいい。

 17年の人生の中で出会った女で、最もかわいいと思った。

 割と好みのタイプ。

 

 ロングヘヤーの茶色混じりの艶やかな黒髪に、澄み切った蒼い瞳。

 短髪で、毛色が石灰色に近い白。瞳の色は黒ずんだ琥珀色な俺とは随分印象が異なる。


 容姿は文句なしの美少女――。

 

「これで俺もお役御免か。元の世界に帰してくれるんだよな?」 


 本来の救世主が現れ、すっかり諦めムードになってしまった。

 元の世界に帰してもらえると思ったが。

 



「王様、この程度のヤツを召還させるのはエネルギーのムダです。追い出す事を進言致します」


 ――そうはならなかった。

 太子は俺を無一文で追放しようとしだした。


「なるほど。確かにその通りだ」


 王様は太子の言ったことに乗り気。

 これは状況的にやばい。


「王様、追い出すなんてあんまりだ! せめて元居た世界に帰してくださいよ」


 せめて元の世界に帰してもらえるように縋る(すがる)が。

 王様は俺の進言を無視して言い放った。


「黙れ! 救世主を騙った偽者風情が!」


 王様聞く耳持たず。

 本来の救世主である太子の言葉を鵜吞みにしている。

 てか、勝手に召喚しておいて、いらなくなったらポイとかないわー。


 王様が無理ならと、太子に助けを求めるが。


「太子、助けてくれ!」

「べー」

「なっ!」


 太子は俺に舌を出してあっかんベーっとする。

 この時俺は悟った。

 こいつは俺を毛嫌いしてると。


 ◇


「さっさと出ていけ!」

「グハッ!」


 俺、御剣 響夜はあの後乱暴に放り出された。


 ヤツら、俺がいらなくなったとたんに、わずかな金渡してポイしやがったよ。

 いきなりお払い箱は酷い。

 俺はいらない子だったとはいえ。人の同意なしでいきなり呼んだ挙句、元の世界に帰してもくれない。

 なんと一方的なヤツらであろうか。

 思い出しただけでムシャクシャする。


 なんだか、小学生の授業で習った『スーホの白い馬』に出てくる『スーホ』にでもなった気分だ。

 小学生の時は、漠然とお話を聞いてたが。自分がそれに近い立場になると、『スーホ』の気持ちが痛いほど分かる。

 今更分かったところで、遅い気もするが……。


 しかし、ホントにムカつく。

 いろいろ理由はあるが。1番許せんのは、本来の救世主である西村にしむら 太子たこが、俺を見下した目で見てきたことだ。

 俺は見下されるのが大嫌い。

 これだけでも許せんが。

 それに加えて、俺を追い出すように王に助言したのも太子だ。

 太子さえいなければ、路頭に迷うこともなかった。

 そう思うと怒りがこみ上げてくる。


 ヤツらに復讐したい!

 激しい憎悪が俺を支配した。

 だが、その策も手段もないんだよなあ。


「はぁ~~」


 自分の無力さに、でっかいため息をつく。


「――んっ!」


 でっかいため息をついたのも束の間。

 突然、素晴らしい考えが瞬間的に思い浮かぶ。

 そのアイディアは。




「奴隷だ!」


 いつだったか『小説家になろう』で、奴隷を購入して強力な仲間に育てた小説を読んだことがあったんだった。

 中世風のファンタジー世界だ。奴隷商が居たっておかしくない。

 目的が決まれば、善は急げ。

 城下町で奴隷商を探すことに。



御剣響夜のプロフィール

・性別:男

・種族:人間

・血液型:O型

・年齢:17歳(高校2年生)

・誕生日:7月13日

・一人称 :俺

・身長:165センチ

・体重:55キロ

・毛色:石灰色に近い白

・瞳の色:黒ずんだ琥珀色

・好きな食べ物:甘い物全般、焼き魚、スペアリブ、すき焼き、おむすび(できれば塩むすび)

・嫌いな食べ物:酢の物、納豆、生のトマト(トマトソースやケチャップなどの加工品は食べれる) 

・趣味:プラモ、アニメ、人形劇、漫画、古代生物、特撮など(意外と多趣味)

・性格:策士気取りだが、実際には調子に乗りやすく夢見がち。努力嫌い。質より量を重視する考えの持ち主。ちょっとひねくれ者。自信家なところあり。

・人物:消極的な性分で、向上心は乏しいく独立心も低い。自分でいいと思ったらそれ以上向上させようとしなくなる。食わず嫌いで、一度できないと決めてかかると頑として努力を拒む。その割に1番になりたいと思うなど虫の良い一面もある。伯母の衣類会社でアルバイトさせてもらってたので、手縫い・ミシン縫いどちらでも高い水準で縫える。劣等生で学校での成績はよろしくない(下の中か下の上程度)が、生物に関する知恵は極めて優秀。自覚はしてないものの仲間思いで、一度仲間だと認めた者は決して裏切らない。自分や仲間達が起こしたトラブルも可能な限り自分達でケジメをつけようとするなど、良識はある。性欲に関しては普通の思春期男子らしくスケベである。自信家の割には軽率で油断しやすい。人形劇が大好きで、人形劇を悪く言われるとキレる。人の顔と名前を覚えるのが苦手(ただし、人形劇のキャラクターであれば労せずに覚えられる)

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