奴隷
『“我が魂と力を汝に託す”』
____ガルム
青年が竜の名を呼び額に手を当て光が満ち溢れる。
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とある街の一角
あまり賑わいのない道に面した場所に喫茶店があった。
1週間ほど前に開店したばかりの店である。
従業員は執事を思わせる容姿をした店長もといマスターが1人。
当然の如く客は誰1人いなかった。
チャリン
という音とともにドアが開き1人の男性が入ってくる。
徐ろにカウンターに腰掛ける
「ブレンドを」
「畏まりました。」
慣れた手つきでブレンドコーヒーを淹れ
客に差し出す。
「お待たせいたしました。どうぞ。」
「どうも」
一杯飲み「ふぅ〜」っと気の安らいだ顔とともにそんな言葉を漏らす。
「さてと」
男が懐からメモを取り出す。
「ここ何日か調べてわかった事だが、どうも屋敷には不当な手段で入手した亜人の奴隷がいるようだ。」
「左様でございますか。屋敷の見取図と捕まっている者はわかりましたか?」
「当然だ!情報屋だからなそういうのには抜かりないぜ!」
「ありがとうございます。」
スッと懐からメモと見取図を渡す
「あー.......あんまりこういうのは聞くべきじゃないんだが、突入する気なのか?」
「えぇ」
「まぁ......健闘を祈ってるよ」
マルス・リンダ
どこにでもいるような中肉中背の30歳男性。情報屋。
3日前に領主の館について調べてくれと依頼を受けて調べていた。
「報酬は銀貨3枚だ。」
「畏まりました。どうぞ。」
懐から銀貨3枚を出して差し出す。
「まいどっ」
「ブレンドコーヒー1杯、銅貨1枚になります。」
「.........はぁ、ほらよ」
銅貨1枚をカウンターに置き
マルスは席を立つ
「毎度、ありがとうございました。」
「はぁ...」とこぼしつつ挨拶代わりに片手を上げ店から出て行った。
(この味ともおさらばか、結構気に入ってたんだがなぁ)
などと内心ボヤいていたりする。
実は領主が街の兵士を買収して悪事を隠蔽していることを知っているマルスだったのでこれ以上は危険と判断し身を引いたのである。(悪く思うなよ。俺はまだ死にたくないんだ。)と心で思うのだった。
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暗い牢の中火の明かりだけが光源だった。
今がいつで何日経ったかわからない。
あの日、村が襲われ両親が殺された。
目の前で.....
それだけでも辛いのに
ここに来てから体を犯され、四肢を切断された。
苦しく辛く何度殺してくれと頼んだかわからない。
首を鎖で繋がれた黒髪ロングの猫人族の少女が呟く
「....だれか.....たす....けて.....」
涙が瞳から溢れてくる。
いつものように視界を閉じ目の前の悪夢から
覚めるようにと願いながら眠りにつこうとした。
突如
カン!!カン!!カン!!
っと外で激しい音と罵声が聞こえる。
「敵襲だっ!」
「どこから!?」
「正面から堂々とだ!!ありえない強さだいいから急げ!!」
「くそっ!!!」
響く銃声音や悲鳴
一体何が起きているのかわからないまま時間が経った。
いつのまにか音は止み静寂が訪れていた。
そこえ
コツコツと地下に降りてくる足音が聞こえた。
自分の牢にまっすぐ向かってくる。
怖くなり目をギュッと閉じる。
そこに優しい声色で尋ねられた。
「大丈夫ですか?」
「えっ.......」
そっと目を開ける。
そこには執事と思わせる風貌の老人が立っていた。
腕の中には白髪の猫人族の少女が抱えられている
その少女もまた右手以外の四肢を切断さた状態だった。
少女は意識を失っているようだった。
「檻を壊しますので、目を瞑っていていただけると幸いです。ガルム頼みます。」
突如老人の腰についていた魔導兵器が変形し大型の手の形になり牢の鉄格子をいとも簡単に曲げた。
「ひっ......」
条件反射的に怯える。
そんな少女に老人はゆっくり歩み寄り空いた左手で頭を撫でた。
今までにないくらい安心する心地を感じた。
「まずはここから出てからお話をしようと思うのですが、よろしいですか?」
「......はい」
そっと頭から手を離し、
ゆっくりと体を抱き上げられた。
地上に上がりゆっくりと街の中を歩んでいく。
その振動が心地よかったのか助かったという安堵からなのか
眠ってしまった。
初めまして、始めました!
突発的に書きたい衝動で書いているので読みずらかったりするかもしれませんが興味持って頂けたら嬉しいです。