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臺北站(台北駅)

結局着いた当日、飛行機の遅延で昼ごはんは食べ逃し、携帯が繋がらず夜市に行くのも地図が開けないわけで、朝起きた時に愛美は空腹を強く感じていた。

「昨日は祝日でお店は閉まっていたし、今日は休日で空いてない…どうしよう。」

とりあえず携帯が繋がらないのは死亡フラグどころか死亡確定だと思い、台北駅に向かうことにした。台北駅は歩いていけない距離では無かったが、愛美は地下鉄の駅で欲しいものがあった。

台北の交通で書かせないICカードだ。悠遊卡ようようかーと言うらしい。英語だとEasy Cardと言うらしい。語学学校までは地下鉄通学が決まっていたので、IC割引もあるし持っていることに越したことは無いだろうと愛美は考えた。

「悠遊カード下さい。」

「あなた*▶●□〒□▼●◇△!」

早口の台湾の中国語に戸惑う愛美。最初のあなたしか聞き取れなかった。

「も、もう1回ゆっくり言って貰えますか?」

「日本人?」

さっきと違う聞かれ方をした。さっきは明らかに日本人かどうかは聞いていないことは愛美でも分かっていた。

「は、はい!」

だが、愛美は不安しかない中でとりあえずなんでもいいから聞き取れたのは素直に嬉しかった。

「あなたは観光客ですか?観光客ならどのカードが欲しいの?」

英語で捲し上げるように話された。中国語でもゆっくりなら聞き取れる愛美は少し不満だが、1発で聞き取れなかった自分が悪いと思い、英語で対応する。

「半年留学する予定なので普通のカードを下さい。」

「分かりました。」

悠遊カードを手にすると愛美は些細なことなのに頬が緩むのを感じた。本来悠遊カードは時間があれば空港で入手することも考えていた。だから中国語ではなく英語であったとしても自力で買えたことは少し愛美の希望になった。日本のICカードと同様に地下鉄の改札でタッチをして地下鉄に乗る。台北の地下鉄は路線にもよるがかなり便利で、例えるなら東京の地下鉄みたいに数分おきに電車が来る。ホームドアが完備されていて、人身事故は少なそうで通学は安心だとと愛美は眺めていた。台北の地下鉄の凄いところは綺麗さだけではない。無料WiFiが駅だけでなく車内も使える所だ。周りを見渡すと日本人以上に台湾人は携帯に夢中になっている。台湾人はSNSがかなり好きだと聞いたことがある。改札の近くにもあったが、台北の地下鉄は飲食厳禁だ。改札の前の黄色いテープの内側は飲食厳禁になる。そのためす地下鉄は清潔で、愛美は少し台湾のイメージとかけ離れているのを感じていた。そして愛美は現地に来たという感覚をひしひしと感じ、嬉しくなっていた。

台北駅に着く。

「ひ、広い…。」

当たり前だ。台北駅は東京で例えるなら東京駅や新宿駅のような中心となる駅だ。地下鉄だけで2路線、新幹線(台湾高速鉄道:高鐵)や台湾鉄道(台鐵)も通っている。とりあえず調べた場所に行くための出口を探し、なんとかその周辺に出ることが出来たはずだ。しかし店がどこか分からない。台湾の気温は4月にしては蒸し暑く、結果的に2食抜いた愛美は流石に目眩がした。これは食べないと死んでしまう。メシより宿という名言もあるが、宿はあるのだからご飯を食べたっていいだろうと愛美は周囲を見渡した。

「とりあえずWiFi求めてMのマークのファストフード店で食べながらお店の正確な場所を探そうか。」

海外で食に困ったらMのマークのファストフード店に入れというのは、何度か海外経験の経験から来る愛美の考えだ。Mのお店は国によって味に大差はないし、WiFiを有している可能性もある。そして最悪メニューが読めなくとも何となく分かる。それだけで困った時には大きな助けになる。そう、愛美はそういう時はタフである。

「あなた△●□*〒◇△□*◇▶?」

愛美も聞き取れないのはもう分かっている。だが、留学に来たからには英語に逃げないと決め、中国語で注文をする。店員さんの態度が少し変わった。これは馬鹿にしているというのが正しいのだろうかと愛美は感じていた。海外のファストフード店の店員さんの接客態度は別に期待はしていないが、鼻で笑われているのは流石の愛美も気に食わない。まあだが言い返す語学力もないし、分からないふりをしてやろうと愛美は続けた。

とりあえず注文をクリアし食べ物を受け取り席に着く。言葉が分からないから馬鹿にしていいと思ってんな?という愛美は、空腹と不安感と喜びと暑さで変なテンションになっていた。だが、愛美の心を簡単に折る一撃をここで食らうことになる。

「コーラじゃん…。明らかに飲み物聞かれてないと思ったらこれは…。」

愛美の苦手なもの首位は炭酸飲料だ。本当に愛美は炭酸飲料が飲めない。アレルギーではないが、飲むと吐く。愛美はとりあえずコーラを見なかったことにし、携帯を開く。予想通りWiFiはある。これなら大丈夫だとWiFiを繋げるが…

「繋がらない。いや、繋がってるけど重いのか?」回線の重さまで頭が回ってなかった愛美は自分の頭の悪さを呪った。観光も辞めた。家に帰ろう。どっちにしろ明日オリエンテーションがある。その時に相談しよう。愛美はハンバーガーとポテトを一気に食べ、店を出た。


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