ユグから生まれたユグ太郎の旅支度
(対策した結果生まれたのがユグ太郎君だよ?)
なんだか小馬鹿にするような口調が伝わってきて腹立つなコイツ…。そもそも百万の軍勢に対して俺一人と無茶言うなよ。
「もしかしてこれからどんどん俺の兄弟たちが生まれてくるんですか?」
(結構力を注いだからユグ次郎が生まれるなら来月になるだろうね)
アホなんだろうか?配下生産するペース配分おかしいだろ。
百万のゴブリンを倒すなら明らかにマンパワーが足りない。
例え一秒に一体のゴブリンを倒したとしても
一分で60体。
一時間で360体。
丸一日で8640体。
一か月で約250000体。
不眠不休で毎秒ゴブリンを倒したとしても全滅させるまでに4か月かかる計算になる。
アホか。
休ませろ。
(世界樹が丸一か月力を注ぎこんだんだからそれ相応の力が君に備わっているはずだよ)
「だとしても明らかに人の数が足りないでしょ!俺一人で不眠不休とかどんな社畜ですか!」
(うーん確かにそうかも。じゃあこれ使いなよ)
上の方から丸い何かがいくつか落ちてきたので急いでキャッチする。
手のひらサイズの美味しそうな赤々とした果物だ。
(僕の果実さ。食べれば滋養強壮、体力回復、折れた骨も元通り、万病に効き、アンチエイジング作用もあり、全ての能力が向上するすばらしいアイテムをプレゼントするよ)
「果実って世界樹から生えてきたんですよね?つまり俺の兄弟?俺食ったら共食いになる感じ?」
(種は入ってるけど芽吹いたわけでもないから受精卵みたいなものかな)
おえぇ。自分の親の受精卵とか持ちたくねえな…。
何はともあれ時間はないし、その辺に落ちてた俺の腕の太さぐらいの木の枝を拾って当面の武器にする。
葉っぱと蔓をつかいウエストポーチを作って世界樹の果実入れ保管しておこう。
(どんな手を使ってもいいからゴブリンたちの侵略を食い止めて欲しい)
「どんな手でもって…あたり一面火の海にして焼け野原になってもいいんですか?」
(まあ焼畑農業とかもあるし肥料になるからいいんじゃない?)
見た感じユグドラシルとゴブリン軍の間には、いくつも集落があるのに焼け野原にしてもOKってちょっとどうなんですかね?
まあ口には出しませんけどね。
「じゃあとりあえず行ってきまーす」
ユグ太郎は世界樹の果実を入れたウエストポーチを腰に巻き、木の棒を手に持ち歩みだした。
しかしこの男全裸である。