昔々あるところに
昔々、まだ世界樹と呼ばれる大樹が今の半分ぐらいの大きさだった頃の話です。
世界樹は何十本もあり、人々の暮らしを大きく助けていました。
ある時はその身を盾にして雷雨を防ぎ
ある時は朝露で干ばつを防ぎ
ある時は暴風を受け止め
ある時は果実を落として飢餓を救いました。
その大きな葉は屋根として
その大きな枝は建材として
その大きな根は避難場所として
人々はありがたく活用しました。
人々その世界樹を敬い崇めるようになり、最も大きい一本の世界樹をこう呼びました。
世界で最も偉大な神樹
月日は流れ、とある夏の日のこと。
世界に何十本もある世界樹の内の一本が枯れてしまいました。
ゴブリンと呼ばれる種族が世界樹の恩恵をより多く独占するために
まだ青い果実をもいで、
世界樹の葉をむしり取り、
根を掘り起こしたりして
やがて世界樹は枯れてしまいました。
ゴブリンたちは世界樹の幹の中身をくり抜いて、そこを自らの根城としました。
ゴブリンの根城となった世界樹の成れの果てである城塞は圧倒的な硬度を誇り、他の侵攻をすべて返り討ちにしました。
またゴブリンは積極的に他の種族たちを襲うことで奴隷にしたり攻め滅ぼしたりしました。
多くの種族はゴブリンに怯え目につかないように息をひそめて暮らしました。
ゴブリンたちは他の世界樹へと侵略し、枯らし、幹を城塞にし、道々の多種族を攻め滅ぼしまた別の世界樹を目指すことを繰り返していくうちにどんどん繁栄していき、軍隊と言えるような規模まで大きくなりました。
ゴブリンたちの軍はついに世界で最も偉大な神樹が目に入るところまで侵略を進めました。