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四 人は花の美しさに惹かれる。植物の性器に。

 私は中学生になった。

 去年度は、最高学年という誇りがあるためか同級生達はだいぶ大人びていたけれど、中学一年生になった途端子供に戻ってしまったような人が何人もいる。私は妙に虚しくなった。


 私はどの部活にも入らず、小学生の頃と同じように放課後は庭に通った。男の子も学ランを着ていて、私と同じように中学生になっていた。


「中学生って嫌だね。学校ではセクハラが横行してばかりいるの」

「ここではそんなこと気にしなくていいんだよ」


 彼はそう言ったけれど、嫌でも性を連想してしまうものがこの庭にはあった。

 木々が花を咲かせている。


「つらいだろうけど、君だって、興味がないわけではないでしょ?」


 以前より成長し、男性らしい体格になった彼が言う。


「まあ、そうだけれど」


 無数の白い花が、花粉を得るためにめしべを伸ばし、花弁を広げている。それがなんだかとても下品に思えた。


「性的な興味を抑えきれず、相手を傷つけるのは駄目なことだ。でも、愛し合って子供を成そうとするのはとても素敵なことだよ」


 庭に花粉が飛び交う。細かな粉は粘液で濡れた柱頭に貼りつき、覆い尽くした。

 この交わりがやがて果実を生み出すのだろう。


 人は花の美しさに惹かれる。植物の性器に。子孫を繋ぐための生殖器官に。けれど、多くの人はいちいち花が性的なものだと意識することは多分ないだろう。形や色合いには純粋な美しさがある。


 花は、清白でいて、性的だ。

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