予感に震えている
まだまだ、世の中は狂騒曲が流れていますか? 休みが明けて、お仕事が始まるまでは落ち着かないんでしょうね。私の周りはいつも変わらず竹藪の中を風が吹いてますが・・・
「熱情のカケラ」
空っぽの箱の中では
忘れられたそれは
右に左に
前に後ろに
音も立てずに転げ続けている
放り込まれたままに
新鮮な空気も、日光さえも遮られ
埃まみれで、そこに在るだけだ
トラック運転手の彼は、今日も
大きな箱を引きずって
西へ、東へ、走り回っている
たまに
山道で行方不明になって
蒼穹へ捜しに行かないと
いつまでも帰って来ないこともあるけれど
概ね、安全に流れているみたいだと
会社の社長さんが言ってた
箱の中の熱情は今日も
埃にまみれて、運転席の後ろの
簡易ベッドに放り込まれて
コロコロと
コロコロと転がり続けているようだ
「雨に想う」
急な雨だ
何時落ちてきてもおかしくない
雲行きだったとは言え
サッと降り始め、降り止まない
たちまちに木々は頭を垂れ
草や路面は濡れそぼる
暗い空の下
谷筋からは靄が上がり
ちょうどそこから雲が立ち上るようだ
幾筋ものそれは
消しても、消しても炎が上がる
心のそこ、ここに残る
熱いものからできているようでもあるのか
こんなにもたくさんのそれらを抱かえ
静かな風体を装い
何をめあてに生きて行こうとするのか
繰り返し、繰り返し
反逆するエネルギーに
ジッとしていられなくなると
ただ
眼をつぶって
ひたすら落ち着くのを待つなんて
なんて
なんて、つまらない世界
「雨音の中で」
夜半過ぎに帰って、今、起きだした
空は暗く、雨は降り続く
家の中はシンと静まり
ただ、ここにある時間が
周りの雨音にかき消された
日常を捜してる
時計の音とも
心臓の音とも
耳のそばの血管を流れる血液の音とも
解らない音が
絶え間なく降る雨音と重なり
遠い記憶の彼方の海鳴りのように響く
どれだけの時が過ぎ去ったのだろうか
受け止めようとしている手のひらから
流れ落ちるそれは
ただ
ただ
指の間をすり抜けていく
「訪れの予感」
穏やかな日々が訪れ
木々の葉は緑を深めた
控えめな花々は枝を飾り
山々の彩にアクセントを加えている
この鮮やかな時の流れに
雲の動きが速い
山の周りを風が巡り
次々と葉裏を見せる木々は
その行く先を教えているようだ
まだ離れている「それ」は
静かに近づき
やがて激しく走り抜けるのか
捕まえるためのすべを持たず
通り過ぎるままに見送ることもできず
近づいてくる予感に震えながら
葉裏の白さばかりが走り回る
近づいたり、離れたり
何時やってくるのか
もう、すぐ目の前や
立ち尽くす、すぐ後ろに来ているのか
心、波立つ
この時期、裏の竹藪では、タケノコめあてにイノシシさんが走り回ってます。で、鉢合わせが怖くて、タケノコ掘りはできません・・・