彷徨うこころとともに
ここにきて、ハッキリと傾向が変わってきましたか?まず、小難しい言葉がはっきりと少なくなりました。で、読みやすく、解り易く、間違えようもなくなったかも。ところが、一見難解な側面が無くなり魅力?も大転落?。に、ならないように頑張ります。
「街へ行こうよ」
ざわざわと
落ち着かない心を
持っていき場のない心を
両腕でギュッと抱かえて
街の中へ出ていこう
人通りのなるべく多い
埃っぽい街がいい
売り出しの広告や
人々を呼ぶ音楽の溢れた街だ
そんな中を押し黙って歩くと
せわしない人々の中へ混じると
少しだけ慰められる気がする
さあ、街の中へ出ていこう
うん、間違ってもこんな時
海や山へ行かないほうがいいかな
寂しすぎて、落ち着かないし
ウロウロと彷徨う瞳の
持っていき場がなさそうだから
街の中には似たような人が
たくさんいてくれて
何も言わないけれど、なんとなく
解り合えて、こころの中が少しだけ
暖かくなってくる気がするんだよ
自分の心と正面で
向き合うことは別な時に・・・
今日のところはお疲れ様
「日暮れの帰り道の思い出の中で」
深い山間を走る高速道路は
左へ右へ大きくカーブして
だらだらと登っていく
大きくて
重そうに走るトラックも
これから遠い街に行くバスも
家族を乗せた車も
皆、黙って登っていく坂道だ
ふと、小さな道を見つけた
峠への細いその道は
まもなく離れて、そして
再び近寄ってくるのだけれど
すぐに雪の残る
冬枯れの木立の中へ
分け入ってしまった
ああ、子供が歩いていたけど
家なんてなさそうな山道だ
一瞬、眼が合った気もするけど
そんなことあるはずもない
本当に、存在するのか、しないのか
それすらわからない峠の道だもの
あれは私だったのだろうか
「帰れない哀しみ」
ふと遠い昔を思い出しそうになって
慌てて車を停めてしまった
ハンドルにもたれてジッと眼を閉じ耐えている
こんな時は決まって山道だ
遠い昔
帰っていくべきそこは
この山道を歩いて行けば
着いてしまいそうな気がする
せっかく旅立ってきたというのに・・・
帰らないつもりで旅立ってきたというのに・・・
外は雨
降りやまぬ雨は
果てしなく繰り返される
あの頃への想いを
溶かして、流して
消してくれないのだろうか
消せぬまでも薄めてくれれば
失ってしまった哀しみも
きっと薄くなってくれるかもしれない
帰れない
きっと帰れない
帰ってはいけない道を歩けない
帰れない
きっと、帰れないんだよ
「橋から先の道を行く」
海のそばの道を走る
ずっと迂回していくと
広い河口近くを渡る橋に出る
大きく空へ突き出た柱から延びる
支え綱に持ち上げられたそれは
ちょうど
上目づかいに睨みつけて
ウロウロと母さんの周りを彷徨っている
甘え方を忘れてしまった
小さな子供のように
精一杯、頑張っている
その上を走る私は
切り離された母なるものに
永遠の憧れを持ったまま
ただ、煮え切らない心を抱かえて
走り過ぎていく
この先、雑木林へ消えていく道は
きっとどこか別の世界へつながっているんだ
迷い続けている心は
何も考える事もなく
その道を辿って
どこだか知らない世界へ
行ってしまうんだろう
迷っている自覚さえないままに
前書きの言葉は実現できていたでしょうか?なんとも悲しい程に心許ないことです。