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猫に寄せて

以前は、中身のない重い詩でした。言葉が浮いて、硬かったように思います。この時期は、中身のない軽い詩になりました。言葉も、変わりばえのしない、見慣れたものです。でも、いいんです。創っている本人が軽くて、中身のない人間であれば創る詩が素晴らしいものになるはずがないんでしょうから。ってか、これからに向けて、できるだけハードルの高さを低くしないととてもやってられなさそうですから。

そうなんです、もうすでに、この続きをやろうなんて密かに狙ってるんです。ですが・・・どうなりますか。

  「予感」


風が止み

押し寄せる雲は厚みを増している


先ほどまでは

空は透き通るように青く

陽ざしは暖かで

まどろむにはいい日だった


挿絵(By みてみん)


枯葉の原に分け入り

ぬくぬくとした陽だまりを見つけて

渡りの途中の鳥たちの

遠い呼びかけを聞きながら

とろとろと薄い意識の中で

空を眺めていた


不意に寒さを感じ

気が付くと、空は一面灰色に

鈍く輝いていた


もうそろそろ花の季節が

訪れるのではないか

道端の梅の芽は

膨らんできているのではないか


山々の葉を落とした木々も

もうすぐ緑の芽を出すのではないか

公園の桜は細枝が

赤く色付いてきているのではないか

生垣のくすんだ緑も

鮮やかさが増してきているのではないか


挿絵(By みてみん)


そんな期待に

胸を膨らませている今日だったのに


寒さは漸くに峠を越したばかりだ

春などという

ふやけた季節はまだ先の先


そんな声が

キンッと張りつめた空気の中に

響き渡るのを聞いている


耳の奥に

残響を置いて浸み込んでくる寒さよ

もう、そこまで雪が寄せてきている




  「温もりが欲しいよ」


後ろから抱きしめて

その髪に顔をうずめて

その香りの中で

その感触の中で


挿絵(By みてみん)


ゆらゆらと

ふわふわと

流れ行く時とともに

温もりを感じていたいよ




  「猫は飛びつくんだよ」


せんだって話していた

抱き着き猫のように

そのくびれた腰回りに腕を回し

胸の中へ顔をうずめて押し倒し

それで鳴くんだよ


挿絵(By みてみん)


ニャーッ

ニァーッ


私は、首になんか抱き着かないよ


ナァーオゥッ

ナァーゴゥッ


私もしばらく抱いていて




  「幻想の果て」


急に寒くなって、急に会いたくなって

それでいつも欲求不満なのです


挿絵(By みてみん)


板の間の冷たい床の上に

ちょこんと広げられた

毛糸で編んだ上敷きに

座ってみたり

ゴロゴロ、ゴロゴロ

転げてみたり

部屋の片隅に引っ張っていって

小さく丸めて隠してみたり

そのうえで、暫く眠ってみたり


オス猫の私は

おまえが欲しいんだよ


挿絵(By みてみん)


ストーブの柔らかな炎が

とろとろと燃え続け

ゆっくりと訪れるまどろみの中に

ゆらゆらと揺れる黒髪の

香りに包まれて

猫になった私は

抱かれていても、撫でられていても

その心に広がる欲求を

抑えることができないのを

何度も

何度も

自覚しなければならなくなる


オス猫の私は

おまえが欲しいんだよ




  「春の気配」


つい先だっての雨で

木の芽が膨らんで

小枝の先が赤みを増して

何か、そわそわ

どこか、うきうき


心なしか空の色が滲んで見える

もう一度雨が降り

その次に雨が降り

そうして雨が降り

春を運んでくる


挿絵(By みてみん)


冬枯れた木々の根元に

まとわりついていた冷気が

陽の光と

土の温もりと

そして

たくさんの願いによって

空へ昇華する



何とも、響きの良い季節

次回で完結です。長い間お付き合い有り難うございました。いろいろ想うところがおありだと思います。気持ちの弱い私にはきついお言葉は効きすぎます。ので、お控え下さいませ。お許しくださいますようお願い申し上げます。かしこ

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