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序章

 2018年1月10日、大行進の中での「アーレア・ヤクタ・エスト」に私の心はシーザーに鼓舞されルビコン川を渡ったローマ兵よりもダイナミックに揺らされたに違いありません。


 「普通」じゃない私には、「恋」、そのようなものは元来私は理解できないものだと思っていました。誰かを大切に愛しく思っても俗にいう「好き」というものが理解できなかったのです。でも15歳の春、少し変わった、でも優ししさに満ち満ちた彼に出会って私は「好き」という気持ちを知りました。「恋」というものにみんなが心を躍らせる意味やその高揚感を、そしてあらゆる人が恋を歌ってきた意味を、体感として一瞬のうちに理解したような気がしました。「恋」というものの素晴らしさをその時初めて私は理解しました。しかしそれは私が「男性の体で生まれた男性を好きになる人間」であることを決定的に私の前に提示し、ほぼ強制的に認めさせるものでもありました。不思議ですが15歳の春まで私はこのことにはっきりと気が付かなかったんです。もちろん男性を素敵だと思ったことはあったと思います。しかしそれが「恋」だとは思いもしなかったんです。私は「男性の体」で生まれたんだから、「女性」を好きにならなくてはいけないと思っていたんです。ですから、友人に好きな人を聞かれた際には適当に可愛らしい感じのいかにも男性に人気のありそうな女性の名前を答えて、その質問を切り抜けていました。また、そんな、いかにもな女性のことを好きになろうと努力しました。そうしたら「普通」の「男性」になれるんじゃないだろうかとかなんとか、今となっては下らないことをでも当時の私にとっては人生の最高目標であったことを、考えていました。ですから私が「男性の体で生まれた男性を好きになる人間」であることは私の人生の最高目標を一瞬にして達成不可能にしました。それは私をある意味では絶望の淵に叩き落しました。人生の最高目標が一瞬にして達成不可能になったんですから当たり前のことかもしれません。しかしある意味では私を奈落の底から引き揚げてくれました。「普通」の「男性」である必要性を私からそれは取り去ってしまったからです。もう自分を「男性」と固定化しなくていい、自分の中の「女性」を心の中の監獄から解放してもいいのだと。「男性」でもあり「女性」でもある自分の心をありのままにこの世界に存在させてもいいのだと、そう私は思えたのです。何者かわからなくて、どっちつかずで嫌いだった自分をありのままに生きていいのだと当時の私は思ったのです。ですが、それは逆にいうのなら思っただけにすぎませんでした。その後の私は何も変わりませんでした。今までと同じように「普通」の「高校生男子」を演じ切りました。正直に言えば高校1年生まではということになるので演じ「切る」といった表現は正確ではないのですが、高校2年生からの私は所謂「普通」ではなかったのでそういっても逆説的な本当ということになると思います。とある人たちとの出会いから、2年生の春から私は自分の中の「模範的男子高校生」を破壊し、「普通」ではない本当の自分への完全変態への道を歩むことをひそかに誓ったのですから。誰にも言ったりはしませんでしたがその習慣から私の中の「模範的男子高校生」は死に、私は別人に、といっても今までが別人だったのである意味では本当の自分としての人生を開始させました。自由に生きるための闘いを開始させたのです。その後の人生にわたって続いていく愛と自由のための戦いを。

 そんな私の現在も続く闘いを綴る前に、遅くなりましたが私の自己紹介をさせていただきます。名前は赤崎仁、年は21歳、セクシャリティーはXジェンダー、大学3年生です。大学院生の戸田慶介さんというパートナーいます。いきなりわけのわからない単語が飛び出したかもしれませんがそれについても以降綴っていくことにいたしましょう。


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