3分(では出来ない)クッキング
〜前回のあらすじ〜
キララを怒らせないと誓った男たち
夜中にドタバタとあったことは、もう忘れよう。今はそれよりも、大事なことがあるのだから。
そう、生きて行く上で1番と言っていいほどのこと。
「食事だ」
ちなみに、俺は作れる。簡単なものだが、だてに一人暮らしをしていない。
「ちなみに、2人は料理は出来るのか?」
「多分!!」
「家庭科で習った程度なら」
ドサンの場合〜朝食編〜
「はいよ」
部屋の中心に置いた卓袱台。
その上に作って来た朝食を並べる。
「【WhiteRice〜新鮮なタマゴ添え〜】だ。味わって食えよ」
「それってカッコ良く言ってるけど卵かけご飯だよね⁉︎」
「違う、【White....」
「白米に生卵が乗ってるだけなんですけど⁉︎」
確かに、今3人の前には箸と茶碗。その中には白米と生卵が入っている。
「これが俺の好きな丼物だ」
「手抜きだよね⁉︎作れないなら言ってよ!」
「いや、作れる」
「調理してないじゃん!」
「適量なご飯の量、綺麗な盛り付けの生卵、そして、、、」
醤油の瓶を取り出し、3人の料理にかける。
頭の高さから。
「うわっちょっ⁉︎跳ねてる跳ねてる!醤油が跳ねてるって!」
「EITI'sクッキング」
「オリーブオイルでやれ!!」
ちなみに、セイは隣で黙って食べていた。(醤油まみれになりながら)
キララの場合〜昼食編〜
「はい!出来たよ!」
そう言って作って来た食事を並べる。
「どう?私の女子力は!」
そう言って胸を張るキララ。
確かに美味しそうだ、
美味しそうなのだが、、、、
「なぁ、セイ。女子力ってなんだろうか?」
「分からないけど、これではない」
そして、目の前の料理を見る。
この肉の丸焼きを。
「ちなみに、味付けは?」
「ん?塩胡椒だけど?」
鶏肉、牛肉、豚肉、馬肉(←いや、俺の冷蔵庫にあったか?)全てが塊のまま焼かれていた。
何度も言うが美味しそうだ。
「さ、食べましょう!にっくにっく〜♪」
「お、おう」
人のこと言えないが、こいつも料理は出来ないらしい。
ちなみに、セイは黙って肉塊に齧り付いていた。
セイの場合〜夕食編〜
「もう、期待はしないでおこう」
「そうだね、今日一日で分かったことは私たちが料理が出来ないってこと。きっと、セイ君も同じだよ」
そう言って、2人で料理をしているセイの後ろ姿を見る。
「家庭科程度ってどれくらいだ?」
「人にもよるけど、味噌汁とかかな?」
「あー、あの出汁から作らされる奴ね」
「そして、謎のグループ!調理実習なのに!実習だよ!これからに繋げるんだよ!生きて行く中でグループで料理なんて作らないんだよ!それなのに、切る人、焼く人、洗う人って分かれて、、、、私にも料理させろ!!なんで、毎回皿洗いなのよ!!」
いや、君料理できないじゃん。
と思ったが心の中に留めておく。
「出来た」
ゴクリと息を飲む。
せめて、食べれる物でお願いします。
そう思ってるのは俺だけではなく、キララもそうらしい。
手を前にして目を瞑り祈っていた。
「何してんの?」
その2人の挙動を不審に思い、声をかけるセイ。
「とりあえず、食べてよ」
そして、目の前の料理を見る。
「ドサンは丼物が好きって言ってたから親子丼。キララは肉が好きそうだったから豚カツ、サラダもあるからちゃんと食べて」
ちゃんとした料理だった。
そして、俺たちの好物を的確に考えて出された品だった。
俺とキララは不意に言葉を発していた。
「「、、、、ママ」」
とても、美味しかった。