どの部屋にする?
とりあえず、ここまでの事を軽く振り返ろう。
まず、目が覚めると人がいなくなっていた。
周りを探すがいない。
そんな中であったのが、キララとセイ。
性格には問題がある2人だが、とにかく今を生きなければならない。
「で、とりあえずこれからのことを話すために俺の家に来るか?いつまでも外にはいられねぇだろ」
「「却下」」
最年長としてこれからの流れなども考えていたが即答で却下された。
理由はというと、、、
「なんでおっさんの家なんか行かないといけないんだよ。孫か娘がいるなら行くけど」
と、1人は通常運転していて、
「わ、私をそんなところに連れて言って乱暴にする気⁉︎エロ同人みたいに!」
と、1人は脳内ピンクになっていた。
「俺はツッコまないからな」
「受けってことね」
「うるせぇ!」
有言実行はできなかった。
「じゃあ、俺の家、、、」
「「(絶対変な本がありそう)」」
「言いたいことは分かるよ。ベットの下には何もない」
「「(あ、そうなんだ)」」
「だって、そんなところに置いたら埃が被るだろ?だからベットの下には置いてない」
安心できた時間はすぐに過ぎ去って言った。
「いつでも癒しを感じられるように敷き詰めている」
度を越した変態だった。
「てことで、俺の家で、、」
「「却下」」
当たり前だ。
「仕方ない。私の家に来てよ」
消去法的にキララの部屋になりそうだ。
「すぐそこだし、行こうよ」
そう言ってキララの後をついていく。
今更だが、女子高生の部屋に入るのはドキドキする。だが、果たしてこのドキドキとは楽しみなどの下心からの感情なのか、それとも、、、、
「ようこそ、私の家に」
「思ったより普通なんだな」
率直な感想をこぼす。
何処にでもありそうな一軒家。
普通に生活していそうなリビングに通される。
「そういえば両親は?」
「、、、、さぁ?お茶でも出すね」
そう言って台所に向かうキララ。
「俺は一人暮らしだが、セイは?」
「ん?実家だけど母親は俺が物心つく前に他界している」
“母親は”?
「じゃあ、父親は?」
「それよりも」
あからさまに話をそらされた。まぁ、人には話したくないこともあるだろう。
「キララの部屋って何処だろうね?」
「この階にはないから二階なんじゃないか?」
「そっか、じゃあトイレに行って来る」
絶対に嘘だ。
「あれ?セイ君は?」
飲み物を持って来たキララはセイがいないことに気がつき聞く。
「トイレだって」
「ふーん、あ、お茶でよかった?」
「おう、ありがとうな」
やっと一息つける。
こんなよくわからないことになっている中で一息つけるってのもよく分からないが。
ダダダダダッ
階段を駆け下りてくる音が聞こえる。セイが帰って来たらしい。
「お、おいドサン!ちょっと来て」
無理矢理立たされて連れて行かれる。
「キララは待っていて」
そして、階段の前まで連れて来られる。
「どうしたんだよ」
「とりあえず、2階のキララの部屋を見て来て」
「はぁ?」
「いいから」
言われた通り2階に向かう。キララの部屋はすぐに分かった。扉に“きららの部屋”と掛け札がかかっていたから。
「勝手に入っていいのか?ま、いっか」
そして扉を開ける。
俺はこの時扉を開けたことを一生後悔し続けるだろう。
「見て来た?」
「、、、うん」
「どう?」
「、、、うん」
「リビングに戻ろう」
「、、、うん」
リビングのドアを開けると手鏡を持ったキララが待っていた。
「おかえり。どうしたの?」
「いや、どうも?」
言えない。
キララの部屋を勝手に見ただなんて。
だって、キララの部屋は、、、、
いつでも自分の姿を観れるように壁や天井、床一面が鏡張りだっただなんて。
「「(ナルシスト怖ぇ)」」