1.なんだおまえは?ああ、神様か。で、なんの用だ?
変な夢を見たと思ったら死亡通告だった。
何を言ってるのかわからねーと思うが(ry
おっさんが転生して絶対防御を手に入れます。
いろいろやります。やらかします。
変な夢を見ていた。
い○りや長介の雷神様みたいなじい様と会話している夢だ。
「おい、おい、お前。お前だよお前。お前これから死ぬから」
「あ゛?」
いきなり見知らぬジジイにお前呼ばわりされて面白いわけがない。しかもこれから死ぬ?なんの冗談だ。
寝起き状態でご機嫌がすこぶるわるかったので、長年働いた建設現場で身につけた威圧のスキルで雷様を睨みつける。と、横柄な態度だった雷様がちょっとビクッとした。体つきがイカツイって便利だね。威圧ついでに言葉遣いも乱暴にしてみる。
「何いってんだテメエ? いきなり初対面の人に向かっててめえが死ぬとか正気かコノヤロウ!」
素面のときにはまず両方とも使わないようにしているスキルだけど、いまは寝起きで機嫌が悪いしどうせ夢の中だからまあいいや。DQNモード入りまーす。
ん?雷様、額に汗をかいている。目も泳いでる。意外と有効なのかも。
「いや、いきなりあんなこと言ってすまん」
「謝って済みゃ警察いらねえんだよ! だいたい誰だテメエは?どこのモンだ?あぁ?」
相手の目を見つめながら話す。
「え、いや、わ、ワシのことか?」
「他に誰がいるんだよ」
相手の目から目を離さない。視線で相手を喰らうつもりで。
「いや、ワシはお前たち人間が言うところの神様なんじゃ」
「神様ねぇ。その恰好じゃ雷様じゃねえか」
上から下までじっくり観察しながら言ってやる。何が悲しくてじい様を観察しなきゃいけないんだ。どうせならば狂信的な信者が付いている某漫画に出てくるような女神三姉妹だったらよかったのに。
「いや、だって、仕方ないじゃないか。お前の意識の中の神様と言ったら女神三姉妹関係か雷様しかいないんじゃもん。わしじゃ力が足りないからゴージャスな女神さまの姿なんてとれないんじゃもん」
自称神様はしょぼくれ少しふて腐れながら言ってる。
会話の頭にいや、とかだって、とかとか言ってて微妙にイラつくのもあったのであおってみた。
「神様といってもずいぶんしょぼい神様だな、おい。神様ってのは全知全能じゃないのか?ん?」
「だってしょうがないじゃないか!ワシはお前が住む県担当の神じゃもん!地方担当のブロック長とか、日本担当のエリア長をやってるの上位神なら変幻自在じゃけど!ワシはしがない地方県の!しかも事務担当でしかないんじゃもん!」
逆切れかましやがった、このジジイ。どうせ夢だしぶっとばしてやろうかな。夢の中で物理は通るかな。
ん?ジジイ、なんだかおびえてやがる。顔に出したつもりはないんだがな。
つか、ブロック長とかエリア長とかどっかの会社みたい。
「あ、いや、怒ってしまって済まん。この通り謝るから殴るのは勘弁してくれ」
「ぶっとばしてやろうかって思ったのが顔に出た?それとも念話的なもの? どっちだ?」
「いや、すみません。このとおり勘弁してください」
「俺は質問してるの。謝れなんて言ってないでしょ?」
話が通じない。こういう手合いは本当にイラッとくる。一つ一つかみ砕いて流動食みたいにした説明をしないとわからないのだろうか。
面倒臭えなあ本当に。いつもは現場で仕事だからやってるけどここは関係ねえ世界だしなぁ。面白くねえし構うこっちゃねえからやっちまうかこのジジイ。ちょうど頭を下げてるからそこに蹴りでも入れてやろうかな。
ジジイをじーっと見ながらそんなことを考えていると。
「いや、あの、ほんとにすみません。だからその、蹴ったりするのは…」
「なんで俺が蹴り入れようと考えてるってわかった? テレパスか?」
「いや、あの、その、この空間では相手の思考がわかるようになってるんです」
「そうか、わかった。あと一言目に『いや』とか否定から入る会話してんじゃねえよ。イラつくだろうが」
「いや、あn
ドゴッ!
無言で太腿あたりにキックをかます。
吹っ飛ぶジジイ。軽いな、おい。
ジジイ起き上がるかな。あ、立った。
「否定から入るなって言ってんの。わからない?」
「いy…はい、わかりました」
「まだあんまりわかってねえみてぇだな」
「いや、そんなことありません!わかりました!」
「いま『いや』って言ったよな」
「いや!あれは!あの…」
すこしからかってみた。面白いぐらいに予想通りの反応だ。
そして、こいつ。神を名乗っちゃいるが管理者的なものではなくて監視している程度の権限と力しかないんじゃないのか。
本当に神の力があるのならば俺程度の攻撃なんてどうにでもできるはずだし、そもそも攻撃を加えようなんて気を起こさせないようにできるはずだ。
たとえば女神三姉妹+αとか、天照とか、咲耶姫とか、裸同然のウズメとかそんな姿で出てくればDQNな対応などせず素直に話ができたはず。むしろ下心満載で何でも言うことを聞いていただろうにつくづく損な役回りなジジイだな。
「しょうがないじゃないか。ワシ、力がないんじゃもん。現場では今みたく相手が人間動物関係なく攻撃されるし、定例会議に出席すれば仕事のことで容赦なく詰められるし。正直やってられんよ」
「それって、あんたの話し方が原因じゃねえの?だれだって否定から入る話し方されたらイラつくよ?」
「でもしょうがないじゃn
「ああもう!うぜえジジイだな!グズグズうるせえよ!」
話が進まないので強引に流れとも言えない流れをぶち切ることにした。
「だから、なんで俺の前に出てきた?」
「いや、それは…
「おい」
自称神様の動きが止まる。
「次に否定から入る話し方をしたら、またやっちゃうぞ? いまの俺は寝起きの上に死ぬとか聞かされてとーっても機嫌が悪いんだ。しかもここは世間とは関係のない ”場”なんだろ? 仕事とか世間のしがらみがなければ神だろうが構うこっちゃねぇんだぞ?」
「!」
「わかってくれたようで。説明よろしく」
こんなgdgdなジジイにいつまでも付き合っていられない。話を進めるとするか。