リオナルド・カストネル 2
やっぱり枷が外れているらしい。
口腔内を堪能した挙句、膝の上に乗せて座るなんて、俺は自分の理性を試しているのか。まあ、何かしようにも扉を開けてあるし、さっきみたいに侍女や執事が様子を見に来ることもあるだろう……でも、寝室は奥の扉の向こうか。いや、あの伯爵にばれたら洒落にならないからな。
それにしても、相変わらず感度がいい。キスだけであれだけ感じるのだからこれから先が楽しみでしょうがない。
ああ、これ以上考えるのは危険だな。だったら、話をしよう。訊きたいことは沢山あるのだから。
「さあ、ヴィアンカ。三ヶ月前に何があったか聞かせてもらおうか?」
「別に何もありません!」
ヴィアンカは俺の膝の上に座りながらも、ぷいっと顔を逸らす。こいつ…それが何もない婚約者の態度か。
「何もなくてその態度か? 随分と俺は嫌われたものだな」
「嫌いではありませんが、もう好きでもありません」
正直今俺はものすごく耐えている。好きではないだと? ふざけたことを言うなよ。それ以上戯言を言ったらその口塞ぐぞ。
「他に好きな男でも出来たか?」
「いいえ?」
「では好きでなくなった理由は?」
「大人になっただけです」
頭の中で理性の糸が引きちぎれる音が聞こえた。