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ミラ 3

「ミラ!! ミラ!! 来て頂戴!!」

 お嬢様の呼び声に慌てて部屋に入ります。


「どうしたんですか? お嬢様」

「ええ、と。これでいいわ! ミラ、手伝って!!」

 お嬢様はリオナルド様からの贈り物の箱をひとつ取ると紐を解きました。

 中に入っていたのは菫色のドレス。レースのパフスリーブにスカートのフリルの裾にはビジューが輝いています。何て可愛らしい。お嬢様の趣味ど真ん中です。きっとお似合いですね。でも。

「ちょっと私が着るには可愛すぎないかしら……?」

 そうなのです。ちょっとご自分に自信のないお嬢様はいつも割と上品だけれど地味目、いいえ、清楚な服をお召しです。それでも十分可愛らしいのですが、侍女としては常々存分に着飾りたいと思っておりました。

「そんなことありませんよ。お嬢様はとてもお可愛らしいのですからお似合いになりますよ」

「そ…そうよね。可愛いと言って頂いたんですもの! 着て見せましょう!!」

 握り拳を作るお嬢様。驚きです。いつもはもっと渋るのに。そして可愛いと言って貰ったって誰にですか。ってリオナルド様しかいませんよね。ところでリオナルド様はどこですか? 見当たりませんが?

「ミラ! コルセット、した方がいい?」

「いえ、お屋敷にいらっしゃる分には…お嬢様は充分に腰が細いですから必要ありませんけど、どちらかにお出かけですか?」

「いいえ。後ろ留めて」

「はい。髪はどうされます?」

「あ、さっき頂いた髪飾り……リボン、つけて!」

 そうですね。あれも菫色の宝石が付いていましたね。なんというかドレスも宝飾品も全てお嬢様の御色なんですよね。それにしても、お出かけもしないのにお着替えって一体どういう状況ですか?

 リオナルド様はいらっしゃらない、慌てた切羽詰まったようなお着替え。なにがあったのでしょう。

 取敢えず、言われたままにお着替えを手伝いました。可愛い!! 可愛いです! ああ、時間があればお化粧し直して、髪ももっと整えたいです!!

「お似合いですよ、ヴィアンカ様」

「本当? じゃあ行ってくるわ!」

「え? 行くってどちらへ?」

「寝室! リオ様を待たせているから!!」

「!? ヴィアンカ様!!」


 私の制止の声は駆けだすヴィアンカ様には届きません。寝室にリオナルド様が待つってどういうことですか!!未婚の女性が婚約者とはいえ男性と寝室に入るなど許されませんよ! 

 けれどもう、ヴィアンカ様は扉を開けてそこに飛び込んでしまったのです。


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