リオナルド・カストネル 4
「政略結婚ってもしかして私の力欲しさですか!?」
また阿呆なことを言いだした。
政略結婚が嫌になったので婚約解消しましょう
婚約解消したいくらいに俺の事が嫌になったと。そういう事か? そうですね
リオ様には好きな女性が出来ます
リオ様が女性を押し倒していました。すごく熱っぽい眼で見つめて愛してるって呟いて
だから婚約は消したほうがいいんです
別に御縁のある方をお父様に探して頂いて
いい加減にしてくれ。
お前は好きでもない男の腕の中に大人しくおさまっているのか。
好きでもない男に口付けられて口腔内を侵されて蕩けた顔を見せるのか。
どこの馬鹿が
好きでもない女に山ほどの贈り物をするか。
仕事を無理やり休んで会う時間を作るか。
何度も口付けるか。
優しく抱きしめるか。
泣き顔に嗜虐心と庇護欲をそそられるか。
発せられた言葉にこんなに憤ったりするものか!
しかし、それが自分が嘗て放った「可愛くない」の一言に由来していると分かっているから脱力するしかない。
「そんな力欲しいと思ったこともない」
ヴィアンカの力は権力を握る為に利用できるが、そんなものなくとも俺は充分権力を持ち、それを活かす才もある。寧ろヴィアンカの命を脅かす恐れのある力などないほうがいい。だからいままでも利用しようとしたことは無いし、これからもないだろう。
つまりは、一生婦人方を相手に恋占いでもしていろ! という次元のものだ。
ヴィアンカを抱え上げ体勢を変えると背後から華奢な肢体を抱きしめる。柔らかくて温かくて、甘い香りが首筋からする。
白く滑らかな肌に吸い付きたいと。抱きしめた腕の上に乗る柔らかな双丘に触れ思うまま形を変えてみたいと。俺の名を呼び、喘ぐ姿が見たいと。
そう思うのは ヴィアンカ だけだ。
だから。
「愛しているから婚約したに決まっているだろう」