三話
「さて、まずは武器からだな……」
武器屋に着くと大柄なNPC(プレイヤーが操作しないキャラクター)が迎えてくれた。
明らかに武器を売るより使う側だろとYouは思ったが、あえて突っ込まないことにした。
(結構な量があるな……)
無料で配られる武器を見ると、そこにはたくさんの武器があった。
多いといっても全て一種類ずつであり、性能も初期ならこんなもんだろという程度だが、兎に角種類が多かった。
両手武器なら両手剣、ハンマー、斧、大槍、十字架など。
片手武器なら片手剣、盾、弓、ランス、杖、魔道書など。
小型武器ならナイフ、鉄扇、矢、呪符、指輪など。
ゲームなどで良くあるものからネタとしか思えない武器まであった。
その中で腰に片手剣、左手に指輪を選び装備する。
ちなみに小型武器の指輪は左手の指三本についており、使うときは魔法の名前を唱えて指輪の一つに意識を向けると使えるらしい。
2つに意識を向けても一つしか反応しないみたいで一気に2個の魔法を使うのは無理そうだった。
とりあえず外に出てMob狩り行こうとする。
ちなみにMobとは魔物、モンスターなどのことである。
「あっお兄ちゃん」
武器屋から出たところで不意にYouを呼び止める声が聞こえた。
「美咲か……」
「この世界ではSakiだね。それより全然見た目変えてないね」
「お前もな……」
Sakiの見た目は現実のそれとはほとんど違わない。
設定を変えたと思われるところは肩ぐらいまでの青い髪、青い目、AカップからCカップぐらいになった胸ぐらいである。
髪と目を青に変えたとこを見るとYouは認めたくないようだが性格が似ている兄妹ということが分かるだろう。
そして、腰には二本の片手剣が左右に一本ずつある。このことから戦士だと分かる。
「お兄ちゃんも目の色と髪の色を青に変えたんだね。まぁ、とりあえずフレンド登録しよ?」
「そうだな」
フレンド登録とは、フレンド登録した相手がログインしているか分かったり、メールが送れたり、電話みたいなのが出来るようになる。
「へぇ~、お兄ちゃんはユーって名前なんだ……。で、お兄ちゃん暇?」
「Mob狩りに行くところだ」
「なら一緒に行こ!」
Sakiが何かを操作すると【Saki様より パーティーのお誘い】と言う画面が出てきて特に断る理由もなかったのでYesを押す。
パーティーとは狩に行く集団のことで最大六人まで組める。
経験値や獲得金、モンスタードロップと言うMobを倒したときにもらえるアイテムは自動で分配されてしまうが、一人のときより安全で効率的に狩ることが出来るから基本的にはパーティーで何かをする方が多いだろう。
「ところでお兄ちゃんは剣があるってことは戦士であってる?」
「いや、魔術師だ」
「剣を持つ魔術師ね……。ひねくれたお兄ちゃんらしいや!」
「うるせぇよ!」
怒鳴りながらも、見透かされて恥ずかしいのか目をそらす。
「お兄ちゃんをいじめるのも面白そうだけど早くしないと狩場が込むから早く行こう」
さりげなくS発言が聞こえているがYouも妹がSなのを知っているため特に突っ込んだりしない。
そして再びメールを知らせる音が鳴る。
Sakiにも同じメールが来たようで空中で何かを操作する様子が見える
そしてYouもメール画面を開いた
【初回発売の5万台が売れてから一定の時間が経ち、ログイン数が4万9192人と5万人に近くになりましたので公式設定にはなかった情報を提示させていただきます。
まず、全てのプレイヤーのログアウトボタンを排除しました。ログアウトボタンはこのゲームがクリアされない限り追加されませんのでご注意ください。
それと、このゲームは一週間後の7月28日の12時をもちまして、ゲームでの死が本物の死となるデスゲームとなりますので今のうちに鍛えてといてください。
ついでに言うと、このゲームではプレイヤーにダメージを与える行為はイベントでしか起きませんのでご安心下さい。
なお、外からの助けを求めることは出来ません。無理やりVR装置を外そうとした場合安全装置を破壊し、高圧電流で脳を破壊させていただきます。これにより328人のプレイヤーがすでに死亡しました。
残りは4万8864人となりました
それでは引き続きFantasy World Onlineをお楽しみ下さい】
「なんなんだよこれ……」
Youの声が虚空にむなしく響いた。




