「あしたのクリスマス」
都内某アパート、部屋は乱雑。
「お掃除しといてって言ったのにー」
「昨日、掃除機はかけたよ」
「掃除機をかける前に、片付けなさいっ!」
梅の花みたいに微笑んで、控えめな態度ってのは、どこへやら。
素のはーちゃんは、パンチの効いた女だ。
「クリスマスに、なんでお鍋?」
「俺が支度できるもの、他にあると思った?」
はーちゃんは溜息を吐く。
「慎ちゃんって……」
「ん?イイオトコ?」
「言ってない」
「これね、気に入らなかったら、ごめん」
はーちゃんが出したのは、リボンのついたネクタイの箱。
「ネクタイって、『あなたに首ったけ』だよね?」
「え?そうなの?」
お愛想でいいから、そうだと言って欲しい。
俺からは、小さなペンダント。
はーちゃんの細い首には、細いチェーンが似合う。
去年の今頃、はーちゃんはまだ壊れてて、
俺は俺で何か勘違いしてて、しっちゃかめっちゃかだった。
きったない部屋だけど、向かい側にはーちゃんが座ってて
もう、あんなに辛そうな顔は見なくてもいいんだ。
はーちゃんの表情が、もう隠れることのないものでありますように。
クリスチャンじゃないけど、好きな人と一緒に
何かのお祝いができるって、いいね。
メリー・クリスマス




