「篠田姉弟」
埼玉県某所にて、姉夫婦の住まいに呼ばれた弟夫婦。
「いらっしゃーい。美緒ちゃん、よく来てくれたわねー」
「……俺もいるんだけど」
「あーはいはい。よく来たわね」
「棒読み」
「うるっさい男ねえ。やだやだ、小さい男は」
「小さいのは俺のせいじゃないっ!」
「誰が身長の話した?ヒガイモーソー」
「静音、そこまでにしとけ。龍太郎君、あがってあがって」
「すみません。お邪魔します。美緒ちゃんもほら」
「はい、お邪魔します。あ、静音さん、ケーキです。あと、お口に合わないかも知れないけど」
「あらーっ。おつまみ作ってきてくれたの?よく働く奥さんで、本当に龍みたいなチビにはもったいな……」
「刺すぞっ!」
「昭文、これ、何で食べろって言うの?手?」
「箸くらい、自分で出せばいいだろ。義兄さん、甘やかすとつけあがりますよ、この女」
「何ですってぇ?あんた、美緒ちゃんに何もかも、やらせてるんじゃないでしょうね」
「いえ、そんなことないですっ!お風呂の掃除とか、してくれてますし。龍君は帰りが遅いし、あたし、一般職ですから」
「寝てるところ起こしてでも、分担させるのよ。一緒に生活してるんだから、当然よ」
「美緒ちゃんは静音と違って、人に気遣いができるんです」
「龍君、ひどい。静音さんだって、ちゃんとあたしに気を遣ってくれてるよ」
「ま、いいから、乾杯しとこう。今、揚げ物が終わったから」
「誰が食べるんですか、こんなに!」
さて、どれが誰のセリフだか、おわかりになりますでしょうか。