表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/35

夏の準備

埼玉県某所、某公園にて。



「身体、硬すぎだってば!余計な筋肉つけてるくせにっ!」

静音が一緒に踊ろうって誘うから、よさこいチームに登録した。

元々優秀な踊り子の静音は、さっさと曲と踊りを覚えてしまい

教える側のサポートに回った。

俺はと言えば、前年の「正調よさこい」が精一杯だったらしい。

あれより数倍複雑な振り付け、華やかな曲。


「おっきくて目立つんだから、腰もっと低くして!」

腰を落とすと、ステップが疎かになる。

そこに気を遣うと、手の振りを忘れてしまう。

集団の時はさすがに大声で怒鳴られることはないが

自主練習のためにふたりで公園になんか行くと、容赦ないのだ。

鳴子で殴られることにも、そろそろ飽きた。


「俺、やっぱり止めとくわ。みんなに迷惑掛けるし」

そう言うと、静音は口を尖らせた。

「なんでよ!一緒に踊ろうと思ってたのにっ!」

ぶすったれた顔を見て、おかしくなった。

あれだけ貶したクセに、それを楽しみにしてたのか。

バカだね。人間の扱い、ヘタクソ。


「一緒に踊りたかったか」

見下ろすと、膨れっ面のまんま、横を向いた。

「やっぱり、いいっ!昭文、ヘタクソ過ぎ」

「じゃ、怒るなよ」

「怒ってないっ!」

怒ってるじゃないか。でもまあ、仕方ないか。


「旗振り、まだ募集してたな」

一言で、静音の機嫌はなおった。

「踊らないで、そっちやるわ。それなら、祭は一緒だろ」

「あ、そうだね。昭文にはそっちが似合う」

掌を返したようににこにこする静音は、結構単純かも。

「なんだ、やっぱり一緒に祭に出たかったんじゃないか」

「自惚れんなっ!」


自惚れだけじゃないと思うけど、また鳴子で殴られるのも痛い。

なかなか可愛い静音サン、お互いストレスなく生活しましょうね。

車の助手席でラジオに合わせて歌う静音の横顔に

「満足」って書いてあるから、これはここで解決ってことで。






よさこい踊りは、大旗ふらふも演舞のうちです。

ちゃんと振る練習もします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ