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「女の買い物ってのは」

都内某所、妻の買い物を待つ男。




下着一枚買うだけで、なんだってこんなに時間がかかるんだろう。

寒空の下、店の中に入るわけにも行かずに、じっと通りの向かいで待つ。

男の下着には専門店はない……と、思う。

少なくとも、俺は知らない。Sサイズ探すのに、苦労はするけどね。

まあ、女物の下着は可愛いし、それを着けた美緒はもっと可愛い……おっとっと。

それにしても時間がかかる。何やってんだ。


紙袋を抱えた美緒が店から出てきたのは三十分を過ぎていた。

「ごめんね、サイズ測りなおしてたから」

「ふうん?少しは育ってた?」

「上がってないっ!どうせ中学生サイズよっ!」

「いや、最近の中学生は身体、できてるから」

膨れた美緒が、ぷいっと横を向く。

「いや、俺の手は小さいからね、ちょうどいいけど」

龍太郎の手が、宙で椀型を描いた。

「昼間から、何の話よ」

「美緒ちゃんの胸の話……いてっ!」

拳が龍太郎の頭に飛んだ。


雑貨屋で洗面所のカップを選びながら、今日購入した下着について、龍太郎は思いを巡らせていた。

今晩、何色?

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