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猫と日常  作者: blue birds
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猫の日常5 長編 : 猫とネズミのワルツ


-------gold gate------------------


あるとき、神様は夢を見ました。


その夢の中では、猿と犬が囲炉裏を囲んで談笑をしていました。

そして、その横ではネズミと猫がワルツを踊っていたのです。


それは、とても良い夢でした。


その夢は、それはそれは良い夢だったのです。

しかし、それはやはり・・・所詮、夢でしかなかったのです。


ーーーーーーーーーーーーー gold turning pointーーーーーーーー




猫の日常5 長編 : 猫とネズミのワルツ



「トムとジェリーってコンビの猫とネズミがこの町にいるらしいけど、マッカーサー知ってる?」

「・・・」

「私も詳しくはしらないんだけどね。なんでも、ネズミを背中に乗せた猫がときどき町を歩いてるらしいの。それだけで珍しいのに、その猫とネズミはね、人の言葉が分かるらってもっぱらの噂なんだよ。」

「・・・」

「噂だしね。さすがに人の言葉がわかる猫とネズミってのは信じられないかなーって時雨と話してたんだけど、でもさ、ほんとにそんな二人組がいるなら会ってみたいと思わない?ねえ、マッカーサー?」

「・・・」

 

 無言で俺は席を立つ。

 というか、家を出る。


「あれ?マッカーサー?」


 むろん、ご主人に断りなど入れない。

 そんなことすれば、化け猫決定で即保健所行きだ。


 空を見上げる。

 今日も今日とて、空は透き通るように青い。

 まあ、冬場という季節を考えれば当然か。


(にしても、これからどうしよう・・・)

 約2週間前の出来事に想いを馳せる。

 あのとき、俺とあいつと変態女と、そして、最終的にはあの腰巾着も巻き込んでようやく解決したあの忌まわしい事件。


(面倒な事になりそうだな・・・)

 とりあえず、もういっぺん整理してみよう。

 そうすれば、この??混沌とした現状を打破できる一手が思い浮かぶかもしれないしな。


               ♪



「よお、同業者。おめぇもやらかしたクチか?え?」


 超うざい。

 何がうざいかって言うと、ネズミがうざい。


「まあ、いいさ。野暮な事は聞かない。それが俺たち??すねに傷あるもの同士の礼儀ってもんだろう?ふふふ。」


 よし、決めた。このくそネズミをぐっちゃぐっちゃにして、ご主人にほめてもらう事にしよう。

 それが、飼い猫たるおれのアイデンティティ。


「にしてもおめぇの飼い主、いい身体してんなー。まだ17だろ?あと2、3年したらどうなるんだ?え?おい。楽しみじゃないか。」


 コロス。


「おい!こら!待て!俺だ!お前の叔父だ!ニッケルだ!」


 しらねぇよ、そんなやつ。てか、電池の親戚かなんかなのか、こいつは?


「くっそ、なんて助平だ。あの身体を独り占めしたいがために、尊い俺の命を狙うとは・・・恥を知れ!恥を!お前のおふくろさん泣いてるぞ!たぶん!」


 俺はもともと実体を持たない??正確に言うと、精神物質により構成される生命体なので、こいつが言うところの生みの親は存在しない。

 と、考えつつ、爪で横薙ぎ一線。

 しかも、ちょっとした魔術的効果付きのすごいやつ。具体的に言うと、引っ掻かれたやつは、全身火だるまになる。


「まて!話し合おう!話せばわかる!俺たちは同じ・・・漢じゃないか!」


 ブチコロス。


「いや!やめて!だれか・・・助けて!変態猫が!変態猫が目をギラギラさせて俺を追ってくる!俺は知ってるんだ!あの瞳は・・・」


 にしても、こいつのしぶとさはなんだ?

 ネズミって、こんなに素早いもんか?

 なんか、半分残像になってるんだけど・・・。


「やべぇ、やっこさん、戦い慣れてる・・・こうなったら、南無三!必殺、パンツバリアー!!!」


「!」を三つもつけて繰り出されたのは、パンツの壁。

見た瞬間、それはご主人のものであると分かりはした。

が、俺にとって、最も優先されるべきはネズミの昇天であるように思えた。


だから、パンツごとネズミを薙ぎ祓った。



燃えるネズミ。

燃えるパンツ。


そして、


「パンツが萌えている・・・」


そう言って、ネズミは消滅した・・・というか、消し炭になった。


『なんだったんだ、あいつは・・・』


そう、思わずにはいられない。

いくらお盆とはいえ、これは無い。


βとの縮重が異常に続いてるのも、あんな奴が迷い込んでくる原因の一つのなのだろうが・・・


『まあ、まともに考えて、この世界の奴じゃない。とはいっても、βのやつでもないな。少なくとも、俺と同じ第5以上の階層からきたやつか』


目を細め、ネズミが出てきた配水管を見やる。

が、ネズミが再び現れる様子は無い。


『さすがに、再臨には時間がかかるみたいだな。結界の一つでもこしらえたいが、回路がないし・・・楓にどうにかしてもらうか。ご主人は氏子だし、幼子ではないにしても、ある程度の加護は得られるだろうしな』


となれば、すぐさま出発だ。

あのバカたれクスノキにも、たまには神様らしいことをしてもらわないとな。

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