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猫と日常  作者: blue birds
11/38

Tipsとネコの抵抗


っくそ、ざけんな! これいじょうは!!!!



Tips~始まり



 宵闇が世界に浸透した、午前二時半のこと。

 小さな影が闇の中を、ちょこちょこと動き回っている。


「ここなら、いけるかな?」


 呟く影の前には、おんぼろの家が一軒。ドアの立て付けはあからさまに悪そうで、鍵に至っては、明らかに壊れてる。

 庭は、草ぼーぼー。窓は割れてこそはいないけれど、ピューピューと音を立てている隙間風は、相当なのもだ。


「……」


 少女は周りに誰もいないことを確認すると、おもむろに玄関の戸に手をかけ、静かに。

 静かに、少女は玄関の戸を開いた。


『ギャリギャリイイイガッツガイィ……』


 がしかし、それもボロ家には無意味だったようで、ものすごい音域の広い騒音が、辺り一帯に響き渡った。


「……ま、いいか」


 響いてしまったものはしょうがないと、諦める少女。「ふぅ」と一息はくと、またもこりずに、なるだけ静かに家に侵入しようとしてーーー『ぎしぃ』と、踏み出した廊下にの怪音に、出ばなをくじかれる。


「……っ!」

 

 悔しさが少女の胸を満たし、そのくりっとした幼い目に涙をにじませる。

 しかし、それも一瞬。

 少女は目から溢れかけた涙を服の袖でごしごし拭き取ると、眼前にのびる廊下をみらみつける。そして少女は、当初の『静かに侵入』予定を変更し、『ぎし、ぎし』と音を立てながら、家の中を進む。


「どうせ明日には、あいつらに捕まるんだ。だったら、今日おまわりさんに捕まった方が、あの女だって絶対に嫌なはず」


 ギシギシと音を立て、少女は家の中を進む。そして、茶の間にたどり着くやいなや、月明かりをたよりに、物色を開始した。

 ちなみに、彼女の目当てのものは、お金。


「……」


 少女は黙々と、ブツを探す。

 すでにお縄につく覚悟が出来ているからか、少女は物音に一切の気をはらわず、次々と部屋の中にある棚という棚を引っ張りだしては、その辺に放り投げている。



 しかし、金目のものはいっこうに出てこない。

 10分さがしても20分探しても、一円玉ひとつ、出てこない。

 

 出てくるのは、時代遅れのガラクタばかり。

 テーブルはその機能を果たせるのかと疑いたくなるほどガタガタで、テレビなんか、どう使うかも分からないような形をしている。


「……!」

 

 そんな、時代に取り残されたおんぼろ屋を見渡していた少女は、ここに来て、このおんぼろ屋が人が住めるレベルではないことに気づいた。それはつまるところーーー


「空き屋なのかな?……そうだよ。こんなとこ、誰も住んでるはず無いよね……」


という、結論に達したーーーと同時に、緊張の糸が切れ、少女はその場にへたり込んだ。なんだかんだで、やっぱり警察は嫌だったのである。


「そりゃ、そうだよね。こんなとこ、人が住んでるはず無いし。だいたい、鍵が壊れてる家なんて、家じゃないし」


 鍵が壊れている家ーーーそれはもうただの建物だと、少女は呟き、そして、ごろんと横になった。「もう、まったく、変に疲れちゃったじゃない!」とぼやきながらゴロゴロする少女。


 すると。


「ミケかい? おまえ、今の今までどこにいってたんだ」

と、廊下の方からしわがれ声がした。

 

「!!!」


 この声に少女はビクッと体を震えさせ、テレビの後ろに隠れる。

 声は、「さいきん、寒くなってきてるのに、お前と来たらーーー」などと言いつつ、いっこうに去る気配はない。というより、あきらかに、少女のいる部屋に近づいてきている。


(ど、どうしよう! ひ、ひとがいた! こんなとこに、ひとがいた!)


 焦る少女は逃げ道を探すが、そんなものはどこにも無い。

 すっと出れるのは、声が近づいてくる廊下からだけで、あとはものすごい騒音がひびくであろう換気窓が、残る唯一の逃げ道だ。ただし、開くかどうかが、微妙な感じではある。


(もう、こうなったら……やってやる!あの人を驚かせて、そのすきにわきをすりぬければ、なんとか逃げれるはず!)


 声は一歩一歩と近づいてくる。それに呼応するかのように、少女も自身のテンションを高めてーーー声が明らかに部屋と廊下との境界にたどり着いたそのとき。


「わたfだjsdlfじゃ!!!!1」

と、腹の底から叫び声を上げ、声の主に突進。

そして、華麗に声の主の脇をすり抜けーーーられるはずも無く、月明かりの中浮かび上がる黒い影のど真ん中に頭から突っ込み、転倒。


 ぶつかった反動をそのまま真反対のベクトルで受けた少女は、派手に部屋の中に押し戻された。

そして、腰砕けの状態で影を見上げ、涙目になる。


(ど、どうしよう! しっぱいした! つかまった!)


 どうしようもこうしようもない!

 黒い影に、つかまった! 

 空き家の影に、つかまったーーーと、すでに少女の中ではパニックにより、現状の把握というものが難しくなっている。


(に、にげるしかない! 影廊下にいるけど、行くしか無い!)


 いくら廊下に影いることが分かっても、出口が一つなら、行くしか無いのだ。まあ、普通の人なら、開くかどうか分からない換気窓の方に行くだろうが、少女の中からその選択肢は消されている。


「うう、私は怖くない!あんたなんて、こわくないんだから!!!!」


 裂帛の気合いを下腹に込め、少女は廊下に這って出る。

 腰が、抜けているのだ。


『うぅぅうっぅ』


 それもそのはず。

 廊下の影は、先ほどから恨めしそうに、恐ろしい声中に響かせている。


「みたら、ダメ。ぜったい、ダメ。みたら、とりつかれる……」


 少女は、自身が編み出した超ローカルルールに乗っ取り、反泣きで影の横を横切る。そして、それから廊下をはうこと10秒。

 少女はやっとこさの思いで玄関にたどり着き、フラフラと立ち上がると。


「ど、どうだ、みたか! 香織は、強い娘なんだから! あんたなんか、全然怖くないんだから……?」


 かっこ良く決め台詞を言おうとしてーーー最後を?マークで結んだ。

 なぜか、広々としたところに出たせいか、今は全然影が怖くないのだ。

 そして、これまた何故か、少女の目の前でうめいているのは、ただの人にしか見えない。そして、目の前にいる人が人なら……



「あ、あの〜」


 微妙な「あ、あの〜」をお供に、少女はゆっくりと影に近づいて行く。

 そして、「うっうっつ」と苦しんでいる影までたどりつき。


「……大丈夫ですか?」と。


 どう考えても、「大丈夫だよ」とは帰ってこないこの状況で、少女は、そう、影に尋ねた。


 これに対し、影は、「うううう」と呻くばかり。もはや、影は返事を返すことが困難なようだ。


「ど、どうしよう!た、たぶん、私のせいだ……わたしが、変なことしたからら……あっ、救急車!救急車、呼ばなきゃ!」



 影に「もう少し待って下さい、今救急車をよびますから」と優しい声をかけ、少女は自前の携帯で、三つの番号を入力。 

 発信ボタンを押し、しばしの待ち時間の後、がちゃりと電話を取る音がなった瞬間、「たすけてください!」と少女は声高に叫んだ。


 この、少女の必死の声に対し、電話の向こうからは。


「はい、東署です!どうされました!?もしもし!?どうされましたか!?」


と、必死に対応しようとしてくれる警察官っぽい人の声が流れてくる。

その声をきいた時、少女は。


「えええ〜ん! なんで、警察のひと!? でも、もういいや! だれでもいいから、たすけて〜!!!!」


と返したのだ。



 あと、ちょっとで……!



--Ti/sp--



「ありがとう。これで、世界は救われたわ」


 そう言って、魔法使いは笑った。

 それは老人が見る、彼女の初めての笑顔だった。


「結局、あなたはなんだったのですか?香織の言葉を借りるなら、この物語における、あなたの役割といえるものは、いったい?」


 静かに問いかける老人を前に、屈託のない顔で笑う魔法使い。


「大した役割は無いかな。言うなればかけっこの最初にピストルならして、ゴールテープを握りしめながら、あなた達を待ってただけ」


 魔法使いは、何でもないことのように、そう、答えた。

 だからこそ、老人は。


「それでは、あなたはこの結末がわかっていたと?」


 と、再度尋ねたのだ。

 

 そして。


 そしてーーーいや、だからこそ。

 魔法使いは再び幸せそうに笑い……


「 いえ、そうなることを、願っていただけ。ゴールテープを用意して、あなた達が、私のところに来てくれることを、祈っていた。本当に、ただそれだけなの。

 そして、あなた達は来てくれた。二人とも泥だらけで、傷だらけで、ぼろぼろだったけどね」





ーーーーーーーちips---------



なんで、あいつが!?

くっ、それより、今は……ここをこう解いて、今度は……!






ーーーtip----



あなたはーーーーーが、愚かだと思っているのですか?


そんなことはーーーーーだからこそ、あなたはーーーをひきとったのでしょう?


きっと、この娘に教えますーーー


            ーーーーおかあさんも、あなたも、心の底からーーーー




ーーーーーーーーtいpsーーーー






あった、ここがでぐちか!まってろ、くそネズミ!ここ突破したらーーーーーー




ーーーーーーーちみあlk^ーーーー


「香織、君は何になりたい?前言ってた、魔法使いは、なしだよ?」


 老人は、夕暮れのあぜ道で、少女に尋ねた。

 将来ーーーこれから、来たるべき未来に、どう在りたいかと。


『おじいちゃん、わたし、「幸せ」になりたい!おじいちゃんみたいに、誰かを「幸せ」にできる人になりたい! だから、おじいちゃん! あのねーーー』

 

 

 そう、答えた少女に対し、老人は。


『香織、それは駄目だ。君はもう、「幸せ」になれているんだよ。だから、今度はーーー』












ーーーーーーーーーーーーーーーーーー






                 これで、どうだ!!!!!!!!!!!!!








                     ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー










                       ☆



ーーーーーーworld record:flag1:messengerーーーーー


 予兆を感知。

 world recordに、flag:messengerが観測されました。




 現状における、滅亡回避の確率を算出します……不可。


 現状では、絶対矛盾を覆せません。引き続き、探索を続行してください。


 



 こちらは、omega-110です。

 RP3o1、繰り返し進言します。



 引き続き、探索を続行してください。このままでは、世界はまたーーー



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