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花火  作者: あさひ
第一章 しかけは爆弾です
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しかけは爆弾です⑬



 イワキメグミが背中を向けて走り出すまでの間、Kはじっくりと眺めていた。

 

 目前で敵に逃走させてからまた捕獲することで、敵愾心を挫き、ひいてはより強い恐怖心を植えつけられることを、Kはユナルミヤ時代から知っている。


 隙を与え、ここまで逃げれば大丈夫だ、と安堵した所で捕らえることによって、絶望を重ね書きする。これはKの趣味ではなく、単純な心理作戦だった。


 次。次こいつが右足を引いたら行く。必死に逃げようとして、もつれそうな脚が笑える。タイミングを計り、踏み出そうとした時、パンツの右ポケットに仕舞いかけた携帯が、二度震えた。


 その振動の意味に気づき、素早く画面を見る。

 いつの間にか、イワキメグミの画面から、自分の現在地が表示されている画面になっていて、全体が赤く光っている。何のアラートか、すぐに思い出せない。


 ダメだ。間に合わない。もう大通りに出るところだろうと、顔を上げることすら諦め、表示されたアラートの意味を考える。

 すると画面がTからの着信に切り変わった。


「これはなんだ」架けてくるということは、知っているということだ。ここはTに聞いた方が速い。


「圏内に入った。今すぐに離れろ」

「圏内?」と口に出した瞬間、疑問の曇りが取れた。

「あれか」


「そいつが追ってた男が色々壊したからな。それに通報があったらしい。すぐ後ろから警官が四名来ている。西に行け」


 後ろを確認することもせず、大通りに出てすぐ脇の側道にまた入り、方角を確認しながら動く。


「それにしても、本当に来るのか?」半ば半信半疑だ。

「間近で見てどうだった」


 二、三違う通りに出て、機敏に道を渡っていく。

「おれの顔を見てすぐに逃げたぞ」

「まだお前の事を知らないのかもな」

 

 通りに何か落ちている。近づいていきながら次の動作を決める。

「多分な」

「二万人といえども、現状、辿り着かれたのはただ一人だけだ。この辺りに少ないのも不審だが、すぐに逃げるというのは何かある」

 

 何かある、ねえ、Tの話を聞きながら、道端に落ちている帽子を拾い被る。アラートが止まったのを確認。周囲に警官らしき人間は見当たらない。


「直感か」

「ああ、そうだ」

「お前の直感は外れることがあるのか」


「帰納に近いからな。例外はある」

「ああ、そういえば、ただの地方の空港をパルク・パトリオートだとか言った直感か。あれは笑った」


「まあ急げ。ポイントを送っておいた。そこで落ち合おう」


 目の前の駐輪場で、カワサキ・ニンジャにまたがろうとしている男を見つける。

「了解だ。すぐ向かう」


「今はダメだ。徒歩で来い。すぐだ」

「どっから見てるんだ」


「上を見るな。急げ」

「わかったよ」

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