縁切り神社の神様が真面目に仕事してくれません
「神様、早く縁切りの仕事して下さいよ。
またこんなに溜めて・・・。」
神社の中。
椅子に座っている神様と、その隣に立っているシャンの
目の前には大量の絵馬が山積みになっていた。
この神社の絵馬には、その多くが縁切りと縁結びの願いが書かれているのだが、
時にはまた一風変わった内容が書かれた絵馬もあった。
"女子高生とウハウハできますように。"
"鉄二郎"(42)
「シャン、そやつは死刑で良い。」
「異論はありません。」
シャンが絵馬を死刑ゾーンへ置いた。
こうして神様が絵馬に対する答えを決め、シャンが仕分けしていく。
他にも作業をする人はいるのだが、今日の仕分けはシャンの担当だ。
「次。」
"来世では好きな人と両想いになれますように。""まなみ"(29)
「今世で縁を結んでやりなさい。
明日、街角でイケメン高身長とバッタリ。」
「分かりました。」
今度は縁結びのゾーンに絵馬を置く。
「次。」
"つまらない女と縁が切れて可愛い子と付き合えますように。""舞人"(17)
「男なら自力で何とかせい。」
「唐突な男尊女卑。」
神様は、手元も見ずにぽいっと何もなしゾーンである火元へぶち込む。
「次。」
"旦那と浮気相手が死にますように"
"みさこ"(36)
"相手の家族が全員死にますように"
"まち"(26)
「この二つはエグいですね・・・。」
「ここは縁切り縁結びだーって言うとるのに、
なーんで分からんのかねぇ。」
神様が気怠そうに言うと、肩肘を付き、もう片方の小指で鼻くそをほじり始めた。
「仕事中に鼻ほじらないで下さい。」
「呪いは管轄外じゃ。自分で藁人形でも作って何とかせい。」
「人を呪わば穴二つとも言いますし、罰を与えては?」
「何を言うとる。その二人はただでさえ辛い想いしてるんじゃから、何もするでない。」
「えー・・・人の不幸を望んでるのに?」
「馬鹿言うでない。
行き場がない想いもある。
受験合格を望めば落ちた人は不幸になり、誰かとの両思いを望めば失恋する子もいる。
わしは平等にしとるだけじゃ。」
「屁理屈。」
「お前、最近反抗的じゃな?
一ヶ月間血の池の掃除に回してもよいのだぞ。」
「勘弁して下さいよ。はあ・・・分かりました。
では、今回は何もなしということで。」
「あ、やっぱ二人とも宝くじ10万円当てといて。」
「ほんっとにこの人は・・・。自分の好みの女性にばっかり贔屓して・・・。」
言いながら特典ゾーンに二つ絵馬を置く。
「シャンは姑みたいにうるさいのう。
はい、次〜。」
"暴力旦那と縁が切れますように"
"みさと"(24)
「この男はどうします?」
「何もせんでよい。」
「え?さっきまであんなに贔屓してたくせに?
あなたの好みのタイプでしょう?」
「だって、その男、今日帰り道に事故で死ぬもーん。」
「死ぬもーんて・・・。」
「やれやれ、肩が凝ったのう〜。これが終わったら温泉にでも行くとするか。」
「神様は相変わらず呑気ですねぇ・・・。
温泉なんて入ってる場合じゃないでしょう。」
「嫌じゃ〜わしは温泉行くんじゃ〜。
こーんなか弱い年寄りをいじめるのかのう。」
「人聞きの悪い・・・。」
「シャンも入るならタダでよいぞ。」
「え、いいんですか?」
「行くかの?」
「ええ。」
こうして二人は仕事を終え、温泉に入りに行くのだった。




