元カレ8年分と、マッチングアプリ地獄の入口
マッチングアプリで婚活に疲れた29歳OL・望月かれんが、
「もうアプリやめる」と決め、本物の出会いを探すストーリーです。
・現代恋愛/お仕事×恋愛
・マッチングアプリ婚活疲れ女子
・地味メガネ系ハイスペ同僚スパダリ
実在のサービス・人物とは一切関係ありません。
ゆるく現代の婚活あるあるをつまみつつ、最終的にはハッピーエンドを目指します。
——また、ハズレだ。
夜の駅前のイルミネーションが、やけに目にしみる。
金曜の夜、12月のはじめ。
酔っ払いとカップルでごった返すターミナル駅のロータリーを、私はコートの襟をぎゅっと握って早足で歩いていた。
さっきまで一緒にいた「42歳・弁護士・年収1500万↑」さんは、きっとまだこのあたりをウロウロしている。
二度と顔も見たくない。というか、もう、思い出すだけで鳥肌が立つ。
(なんで、あそこまで行く前に帰らなかったんだろ……私)
自分への怒りと、情けなさと、疲労とで、ため息がひとつ漏れた。
御園かれん、29歳。
都内のそこそこ大きなメーカーで、営業企画の事務をしている、ごく普通のOLだ。
◇
マッチングアプリを入れたのは、29歳になったばかりの春だった。
大学2年から28歳まで、私は同い年の彼氏と付き合っていた。
8年。大学の卒業旅行も、就職して最初のボーナスも、全部その人と過ごした。
正直、「このまま結婚するんだろうな」と思っていた。
でも、27を過ぎたあたりから、将来の話をするのは、いつも私の方だけだった。
「そろそろさ、両親に挨拶──」
「うーん、まだいいでしょ。仕事も落ち着かないし」
その「まだいいでしょ」が、半年、1年、2年と伸びていく。
28のとき、さすがに不安と苛立ちが限界になって、私から別れを切り出した。
向こうは、ちょっと驚いた顔をして、「そうか」とだけ言った。
その半年後。
SNSに「結婚しました」の報告が流れてきたとき、隣にいたのは、どこにでもいそうな、悪く言えばモブみたいな女の子だった。
(なんで。私だって、仕事も、美容も、頑張ってきたのに)
あのとき胸の奥に張りついたざわざわは、いまだに完全には消えていない。
——だから私は、「ちゃんと結婚相手を探さなきゃ」と思い立って、マッチングアプリを入れた。
そして、地獄を見た。
そのときの私は、まだ知らなかった。
あれが“地獄の入口”にすぎないってことを。
第1話読んでくださってありがとうございます。
初めて書いたので、至らないところなどあれば指摘していただければ幸いです。
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