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再会の歌

初めまして!慈雨と申します!

初作品なので、うん、まあ、誤字とか多めに見てください

出来るだけペース早めに出したいと思います!

ではいってらっしゃい

___あかいはな ひとつさいた


   かぜにゆれて こえをよぶ


   まっててね まってるよ


   やくそくの おかでまた




チリン………






「皆さん、進級おめでとうございます。今年皆さんの担任になります。桑代由梨香くわしろゆりかです。一年間、宜しくお願い致します。」 


      


馬鹿みたいな山の上の学校。教壇に立って挨拶してる担任も、ガヤガヤ騒ぐクラスメイトにも腹が立つ。

さっさと終わればいいのに。もう、この世界に意味なんて無いのに。言葉なんて、無ければいいのに。

「今年は皆さん受験生ということで………………………」

先生の話なんて退屈だ。結局全員言ってることは同じ。いっそ寝てしまおうか…





結局担任の話をろくに聞かないまま帰りの準備をした。成績くらい、テストで何とかすればいい。進路指導主事に聞かれたら助走付きでドロップキックをかまされそうなことを考えていると、頭上から声がした。




「渚~‼一緒に帰ろうぜ」

友人の裕太だった。

いいよと頷き、リュックをつかむ。


「由梨香せんせ~さよなら~!」

…さよなら。

「なあなあ、このゲーム渚もやらねぇ?」

やらない。

「新作パフェだってよ!うまそうじゃね?」

甘そう。俺はいらない。

「母ちゃんが小遣いくれなくてさ~」

知らない。バイトでもすればいい。

「バイトってなんかダルそうじゃね?」

お前には合ってなさそうだな。



こいつは_裕太はずっとしゃべってる。正直五月蠅いが、嬉しくもある。

「また明日な~!」

……………………。




夕暮れの川沿い、誰もいない帰り道。

裕太と別れ、イヤホンも付けずに歩いていた。何も聞かない方が、心が落ち着くから。


チリン……


不意に、音がした。透き通るような。軽い音。

風鈴…?この季節に?と当たりを見回す。何処にもそんなものは無かった。


「……お兄ちゃん」



その声が、頭上から落ちてきたように聞こえた。

反射的に足を止める。

橋の上。

そこに、ひとりの少女が立っていた。


制服のような白いワンピース。

肩までの髪が、風にさらわれて踊っていた。

逆光で顔は見えない。だけど、その姿だけは——忘れられない。




心臓が、暴れた。

時間が、ぐにゃりと歪んだ。

それは、澪………死んだはずの妹だった。


一年前の、最後に見たあのときと同じ姿だった。

でも、どこかが違っていた。

輪郭が淡く、透明で、光に溶けそうなほど儚い。


澪は、小さく笑った。

唇が何かを動かす。

…聞こえたのは、歌だった。




風に乗って、口ずさむ声が流れてくる。

透き通るような、やさしい声。

それは、かすかに震えながら——こう歌っていた。



♪あかいはな ひとつさいた


かぜにゆれて こえをよぶ


まっててね まってるよ


やくそくの おかでまた




俺の中で、なにかがはじけた。

そのメロディーは、澪が毎晩寝る前に口ずさんでいた“あの歌”だった。

橋の上。

逆光に浮かぶあの姿が、まぎれもなく澪だと確信する。




走る。澪、みお、!

渚が駆け寄ったとき、風が一気に抜けた。

そこには、まだ誰かのぬくもりのような空気が残っていた。

だが、少女の姿は何処にも無かった。


少女が立っていた場所には、一輪の紅い花が落ちていた。

いかがでしたでしょうか!

多分明日も更新します。お楽しみに~!

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