銀の6 種族を超えた戦い!!
レストランを隠れ蓑にした、白金色に囲まれた秘密基地内に、静かな空気を漂わせて二人の漢が見合っていた。ひとり目は全身銀色を纏った異星の人、ここの司令官を勤めている地球人名・頂。そして二人目は、危機と対峙している地球人、戰 拳一郎。
眼差しで語り合う男二人。
拳一郎が腕を後ろにやって、ベルトから逆手でコンバットナイフを取り出して構えると、銀色の頂は半身に構えた右腕から、刃物を生み出した。鋭利なその切っ先は、目測で上腕にまで達しているだろうか。
二人ともに実に“いい男”となっていた。戦いを前にした、良い貌であった。
まずは、お互い様子見から。
刃先の擦れ合った音は五度。
一撃目、二撃目。
頂の左胸と右上腕に刻み。
三撃目、拳一郎の左肩。
四撃目、頂の左手首を切り。
五撃目、拳一郎の頬に。
再び沈黙を呼ぶ二人。
頂が薄笑いを見せて、左手首に引かれた線から液を流しつつも、拳一郎へと向けて「来い来い」と煽った、その瞬間。拳一郎の短髪は怒髪が天を突くかのごとく、毛先の一本一本が逆立っていき、眼は血走り、青筋は額と“こめかみ”に浮き出た。
拳一郎、本日二度目の怒り。
地響きを立てて踏み込んだ。
頂も一気に間合いを詰めた。
「うおおおおおおおおおおおおおおぉぉーーーっ!!」
男が二人吼えて、激突。
豪雨の如く打ち合う拳と刃。
貫手。手刀。
目潰し。正拳。
肘。掌。
一本拳。拳槌。
斬り込み。払い。
襟掴み。叩き落とし。
そして、銀色の頂が低空に構えて掌を引いた刹那。弾丸のように撃ち出された掌を、拳一郎は垂直に跳躍したのだ。僅かな滞空を利用して、躰を限界まで丸め込んだその直後に、落下と同時に思いっきり両脚を伸ばして、分厚いその靴底を頂の顔面へと情け容赦なく叩きつけた。拳一郎は相手の顔を台にして跳ね上がると、宙で反転して着地。それと一緒に、頂が鼻の穴から流血させながら天井を仰いで転倒した。
一本っ、そこまで。
勝負あり!
拳一郎の勝ち!