銀の5 凶悪!銀色軍団!!
怒りの力は凄まじい。
額に“こめかみ”に青筋をたくさん浮かび上がらかせて、拳一郎は力任せに、両手両足を縛り付けていた革製のベルトを引きちぎってゆく。これはマズいと判断した銀色の頂が、お前たちこの男を取り押さえろと、部下たちへと指示を飛ばした。
ベッドから起き上がる前を狙って、二人の筋骨隆々な銀色が両側から、拳一郎の襟を掴まんと手を伸ばしたその瞬間に、男から手首を捕らえられてしまう。拳一郎は交差していた腕を広げて、マッチな銀色の二人の頭と頭とを激突させたのちに、飛び跳ねてベッドに着地。雄叫びをあげながら真正面からきた三人目の銀色に、横に振るった足を喰らわせてベッドから降りるなりに、それを力いっぱい蹴飛ばした。すると、台から離脱した板の部分が三人目の銀色の腹に突き刺さり、強制的にその躰を畳ませたと同時に吹き飛んでいく。真横から拳を振りかぶってきた四人目の銀色をかわして、足を払い、仰向けに落下したのを狙って、拳一郎は踵を胸板めがけて振り下ろした。刹那、頬に当たる風を感じる。
合金製の棍棒が、冷徹な煌めきを走らせて、拳一郎を狙う。
右側頭部、防御。
左側頭部、防御。
股間部、防御。
脳天部、防御。
全てを不発にさせた拳一郎が構えをとって向けたその目線の先には、髪の毛をアップにした制服姿の女が。
「君は、名は何と云う?」
「チーフの柴村です」
こう微笑んだ女だけは、なぜかヒトのままだった。
拳一郎は「そうか」と素っ気ない返事をしたと思ったら、あっという間に柴村から合金棍棒を奪い取って、まずは下腹部に一撃を喰らわせた。その打撃に女は口を尖らかせて躰を折る。その直後、拳一郎が容赦なく柴村の側頭部へと二撃目をお見舞いした。チーフ柴村、白目を剥いて気絶。女が倒れ込んだのを見て、拳一郎は床に合金棍棒を投げ捨てると、銀色の頂と向き合ってひとつ呟く。
「残るは、君だけだ」