銀の4 拳一郎、怒る!!
戻って現在。
衝撃を受けた春香は、再び頭を空洞化させて驚愕していた上に、口を半開き。顔じゅうに、滝のように脂汗が噴いてきた。
「ちちちち、ちょちょちょっとそれって! リリリリトリトリト……!」
腕をバタつかせて慌てる。
しっかりしろ、アタシ。
「リトル!!」何だっけ?
「はっはっはっは。奴ら、大きかったぞ」
爽やかに笑う拳一郎さんって、素敵。―――いやいや。
「そーじゃなくってェ! 連中、プラネットVとか……!」
「それは多分、テロリストのコードネームだろう」
「でもでも、姿がパッと!!」
「そりゃ、光学迷彩といった物じゃないのか」
またまた戻って拳一郎の話し。
「我々の実験に、協力してもらえないかね?」
ベッドの上の男へと、銀色の頂が訊いてきた。
すると。
「なにい! 生体実験だあっ!?」
「まだそこまで云っとらんぞ……」
拳一郎に静かに突っ込む。
頂、こっちが本来の姿だと思われる。全身が銀色に被われて、それはもう、服だか皮膚なのか不明瞭なくらいに男に馴染んでおり、自然極まりないなかった。細身の筋肉質に、細面でダンディーな印象は、頂そのままの名残を留めておきながらも、彫り深き切れ長な眼は全体が黒く輝いている目となっていて、耳は無くなり穴のみが残っていた。それと、股間の“もっこり”が気になる。
銀色の頂が極薄な口の端を釣り上げて、語ってゆく。
「まぁ、そういうことだ。君にはまず試作段階となってもらおうか。我々も、未だ完璧な者とはいえんからな」
「勿体ぶらずに、云えっ!!」
溜め息をひとつついて、語りだした。
「『地球人家畜化計画』。なに、男女の生殖機能に少し細工をするだけだ。それも極少数でいい。どうせ、人口が爆増するんだ。その時我々が“託児所”や“孤児院”として引き取る。―――生き物は、未熟なうちが仕込み易い。我々がちゃんと色々な“仕事”を教え込む。―――いやぁ、手術はせんよ。ただ教えるだけだ。そう、教えるだけだ」
銀色の頂、この時の脳味噌には大量の脳内麻薬が分泌されており、映る景色には既に地球を征服した己の姿を視ていたことだろう。
「地球でなく“我々の為に”身を投げ出す兵士として育てる」
頂、迂闊にも語り過ぎた。
「きーー、さーー、まーー、らぁーーっ!!!」
拳一郎、怒る!!