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お茶会へ行こう

 雲一つない晴天。

 前世と同じく週末は学園が休みであり、この日、おれは王城を訪れていた。

 何故(なぜ)ならば、攻略対象の婚約者たちによりお茶会が開かれると知ったから。

 いいね、悪役令嬢たちのお茶会。

 ということでやってきました、王城!

 一般人が謁見のため通される門を『正門』、貴族の役人や王族を通す門を『貴専門』、業者や兵士・侍女のような役職の人間を通す『通用門』、と三ケ所から王城へは入れる。夕方になるとどの門も閉められ、夜間は王城内の警備に集中させる仕組みだ。

 王城を取り囲む塀は高く、結界も張られているために塀超えをして、王城に侵入する賊は少ない。もちろん結界に感知されない魔法を使える者もいるが、基本的には王城内にも色々と魔法感知の罠があるため、侵入は容易ではなかった。

 (あわ)せて各門には門番がおり、入退城を確認されている。記名もするため閉門する時間に退城の記録がないと王城大捜索の対象となり、それはもう恥ずかしい思いをするのだ。

 どうしてそんなことを知っているのかというと、一度だけ大捜索の現場に遭遇したからである。

 これはファンブックにもない情報だと嬉々として情報収集していたのだが、大捜索の結果、(さか)ってるところを発見され、しかも不倫だったそうで大騒動になっていた。(あわ)れ。

 それ以降、退城時間には絶対気をつけようと心に刻んでいる。

 で、今日は忘れ物を届けに来た体裁(てい)でお茶会の観察に来たわけだ。

 お茶会の場所というのは大体決まっており、王城の中庭に幾つか設置されたガゼボのどれかになる。

 ここで王城について少し記載しておくと、建築物に詳しくないためどういった様式だとは書けないが、イメージとしては城と言われた時に思い出せる一般的な城で大丈夫だ。作品(ゲーム)の城はそういうイメージだと思う。

 正門から通される塔が執務塔、執務塔を手前と考え、その奥にある塔が王侯塔、さらに奥にある塔が使用人塔だ。

 中庭というのは執務塔から王侯塔までを繋ぐ回廊を挟んだ庭を()し、広さはドーム四つ分ほど。

 かなり広く造られているのはガゼボを同時に使用することもあり、それぞれの招待客が遭遇しにくくするためだとも言われていた。

 真偽は(さだ)かではない。

 王侯塔と使用人塔は隣り合わせに建ち、呼び出しに応じやすい仕様となっていた。

 通用門はこの使用人塔のすぐ近くにあり、使用人塔の奥は厩舎や洗濯場があるのみで、外壁も近い。この辺りは観察に()けておらず、ファンブックの情報だ。

 ガゼボの位置で使用できる(くらい)が決まっており、中庭の奥――つまり王侯塔に近いところは王族のプライベートエリアとなっており、ここへは婚約者といえど入ることは許されない。

 婚約者が入れるのはその手前の準王族エリアとされる場所までだ。王家由来の花が植えられ、それを仕切りとし、王族と準王族とを明確に区分けしている。

 一般人がどこまで城に入れるかというと、それは基本的には執務塔と解放エリア――中庭の手前までだ。

 ということで向かうは準王族エリア。え? おれはダメなんじゃないかって?

 何処(どこ)にでも抜け道というものは存在するのです。

 おぉっ、絶好の観察ポイント発見。

 本当なら近くで悪役令嬢たちを(おが)みたいくらいだが、初対面の男がそんなことをすれば、気持ち悪いこと間違いなしだ。

 そのために観察ポイントは気をつけねばならぬ。

 誰も来なそうだし、椅子持ってきてやや見下(みお)ろす形でお茶会の準備の様子が見えた。

 メイドに指示を出してる金髪ドリル令嬢は皇太子の婚約者だな。やはりここは立場が上の者が指示出しするようだ。

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