表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

2.素敵なキス

 はじめて描いた、キスシーン。


 実際に相手してもらって、試しながら描きました(照)


※noteにも転載しております。

 そして、ふたつの、ぺちゃんこになった段ボールが。

 あたしの部屋に残されたのだった。



 そう結ぶためには、あたしの部屋は、ちょっと散らかりすぎていた。


 毎週買ってくる、マンガや小説が積まれ。なんとか山脈のように、その高さを競っている。

 未整理のものは、買ってきたそのまま、ベッドのうえ。


 こちらは、まさに「寝かせて」あるってかんじ。


 占領されたベッドをかたづけるのが、めんどうになって。そこらで、ごろんと眠るのはいつものことだ。

 でも、それがよくない。

 浅い眠りは、長い腕をはやしていて。あたしの胸の奥に、ずぶすぶと沈めておいたものを、ひきずり出す。



 そう。そう。


 ひきずり出す、といえば、段ボールだ。


 あたしはそこから。500mℓより、ちょっとだけおおきい、ペットボトルの水を一本とり出した。

 近所のドラッグストアで、ひとケース、買っておいたんだ。

「ふつうの」「おいしい」水なんてものが。習慣的に飲まないあたしの部屋にあったって、なかなか減っていくものではない。


 だからこそ、こんなとき。

 買い置きとして、役に立つのだけれど。


 ききっ、ぱんっ。


 白いふたを、ねじってあけて。


 あたしは、口をつける。

 あたしの上唇が、ペットボトルの上唇をくわえこむような、はしたない飲みかたをしていたのは、いつまでだったか。


 彼の下唇に、さらに、そのしたから。

 あたしの下唇を、受け皿のように、そっと重ねる。

 すでに、おちょぼ口を、めいっぱいひろげていた、彼に(こた)えるように。

 あたしも、口をかるくひらくと、上唇を、彼のおちょぼ口のなかに、すべりこむようにして。

 彼の上唇を(かわ)して、内側から、むしろ下唇のほうをはさみこむような、かたちをとる。


 ペットボトルとのキスで、いちばん素敵なところは、おたがいの鼻があたることがないことだ。

 唇のかたさも、気にならない。

 首をかしげて、角度をかえてやることも。

 舌を絡ませてやることも必要ない。


 鼻があたらないだけで、じゅうぶんに。

 彼とのキスは、あたしの人生で上位を占める。



 もし、ペットボトルに鼻がついたら、あたしは買うのをやめると決めていた。

 ぜったいに、買ってやるものか。

 私に協力してくれた相手は、水じゃなくて、炭酸飲料のペットボトルでしたけど(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] すごいです。 2話のお題は、なんと、それ?と思ったら、 なるほど、あれとそれなのか、と思ったら、 なんで、あれとそれで、私はこんなにクラクラしたのだろう。 [一言] ありがとうございます…
[一言] 前回とはまた違う感じですね。前回は自由詩っぽかったけれど、今回は散文詩でしょうか。まあ、自由詩は句読点は使わない。使うのは散文詩、って言う話も聞いたことがありますが。 ペットボトルとのキス…
[一言] この作品は、驚きで一杯ですね! 前話は、そもそもその作品自体に驚かされて 今話は、 前書きで「えっ!?」ってなって、 途中から「やられた」ってなって。 ちょっと、今、机ばんばんしてました。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ