久しぶりのベテルギ王国
オレとリリーはイグドラ帝国に行くために、久しぶりにベテルギ王国の王都イスカントに転移した。
「ここよね。シルバーとセリーヌが2人で来た街っていうのは?」
「そうだけど。」
「なら、私も見て回りたいわ。」
「いいよ。その前に行きたいところがあるんだ。」
「どこ?」
「お世話になった人のところさ。」
「ふ~ん。」
オレとリリーはスチュワートさんの屋敷に向かった。以前来た時よりも立派になっている。やはり、侯爵になったせいかもしれない。僕達が屋敷の前まで来ると、見たことのない門番に声をかけられた。
「お前達! この屋敷に何か用か!」
「そうだよ。スチュワートさんいるかな~? ロザンヌでもいいけど!」
「貴様! 無礼だぞ! スチュワート様はこの国の宰相様だぞ! お前ごときが会える方ではないぞ!」
「スチュワートさん。偉くなったんだ~!」
「貴様! こっちに来い! 不敬罪で捕まえてやる。」
「いいよ。でも、僕知らないよ。あなたがどうなっても責任取らないからね。」
「何をふざけたことを。」
すると、隣にいたリリーが聞いてきた。
「いいんじゃない。捕まってみようよ。面白そうだもん。」
すると門番は僕とリリーの手を鎖で拘束し、門の中に連れて行った。門の中には警備隊の本部がある。僕達はそこまで連行された。
「どうした? ボブ! その二人はなんだ?」
「はい。門の外でスチュワート様を呼び捨てにしていましたので、不敬罪でとらえてきました。」
「ご苦労だな。」
上官らしき男性が僕を見た。すると、体が震え始め、顔面から血の気が引いていく。
「どうしたんですか? マキシム隊長!」
「お、お、お前は何ということを!」
マキシム隊長は慌てて僕に土下座した。
「申し訳ございませんでした! シルバー様!」
「ああ、あの時、一緒に馬車を警護して王都に来た兵士さんだよね。」
「はい。私ごときを覚えていてくださって光栄です。すぐにスチュワート様をお呼びします。」
「おい! ボブ! お前はそこで待機していろ! スチュワート様がお前をどうするか決めるからな! 極刑は免れないと覚悟しとけよ!」
ボブは何が起こっているのかわからない。上官のマキシム隊長は屋敷に走って行った。
「だから言ったのに。僕知らないからね。」
「あまたは何者なんですか? どこかの国の王子様なんですか?」
「まっ、そんなとこかな。ハッハッハッ」
「ハッハッ———! どうかお許しください! 命ばかりは!」
ボブが凄い勢いで土下座した。不思議なことに、僕とリリーの手は鎖で縛られたままだ。マキシム隊長もボブも慌てすぎて、僕とリリーの拘束を解除するのを忘れているようだ。僕とリリーは手に力を入れて鎖を引きちぎった。
「ホイッ」
「ギシッ」
金属製の鎖のようなもので拘束したはずなのに、その鎖が簡単に切られたのだ。その光景にボブは腰を抜かすほど驚いた。
「えっ?! うそ?!」
しばらくして、ロザンヌが走ってやって来た。その後ろからスチュワートが来る。ロザンヌがいきなり僕に抱きついてきた。
「シルバー様! お会いしたかったです!」
「久しぶりだね。ロザンヌ。」
「はい。」
リリーが目を細めて見ている。すぐに後ろからスチュワートがやって来た。
「シルバー殿。久しぶりです。」
「ひさしぶりだね。スチュワートさん。2人とも元気そうでよかったよ。」
「はい。エドモント様が国王になられて、私も宰相となり、ともに毎日忙しくしてますよ。」
「お父様。中に入っていただきましょ!」
「そうだな!」
ここで、スチュワートがボブを見た。そして僕に言った。
「隊長のマキシムから話を聞きました。シルバー殿。この者を許していただけませんか?この者は、我が家にとって大事な門番なんです。シルバー殿に無礼を働いたことは承知していますが、どうでしょうか?」
スチュワートの言葉を聞いてボブは泣いていた。
「ヒック ヒック 私のようなものに。ヒック———もったいないお言葉です。ヒック」
「さすがはスチュワートさんだね。別に怒ってないよ。」
「良かったな。ボブ。今後も励めよ!」
「はい!!! ありがとうございました!」
ボブが持ち場に走って戻って行った。僕とリリーはスチュワートについて、屋敷の応接間に来た。席に座るといきなりロザンヌが聞いてきた。
「あの~。 シルバー様! 隣の女性は誰ですか? セリーヌさんじゃないですよ!」
「これ! ロザンヌ!」
「いいんですよ。もう2人は僕の正体を知ってますからね。」
するとロザンヌがニコニコ笑いながら言った。
「はい。存じてますよ。優しい魔王様。」
「そう。僕はアスラ魔王国の王なんだよ。そして、セリーヌは僕の伯母なんだよね。隣のリリーは僕の姉のような存在なんだ。」
すると、何が気に入らないのかリリーが僕のお尻をつねった。
「痛いな~!」
するとリリーがロザンヌを見ながら自己紹介を始めた。
「私はシルバーと幼き日より一緒に育ち、人生を共にするものです。よろしくお願いね。ロザンヌさん。」
なんか、リリーとロザンヌの間でバチバチと火花が出てる気がする。それを無視して、僕はスチュワートに聞いた。
「そうだ! エドモントさんに会いたいんだけどいいかな?」
「わかりました。至急手配いたしましょう。明日でよろしいですか?」
「いいよ。」
「では、明日にお会いできるように手配しますよ。ところで、今日は何か予定がありますか?」
「特にないけど。リリーにこの王都を見せてあげたいんだよね。」
「なら、私も同行します。いいでしょ? お父様!」
「わしは構わないが、シルバー殿が迷惑でなければ。」
「いいでしょ? シルバー様!」
「いいよ。」




